ハジメマシテ、
もうすぐ綱吉の誕生日。
もう3歳になります。
「きりーつ、礼」
それに倣って、俺も6歳になりました。
月日ってホント早いわー。もう小学生だぜ。
「沢田ー、帰ろーぜー」
「…おー」
同じ方向の友達に応えてランドセルを背負う。
正直、小学生って面倒くさい。この歳(+精神年齢)でランドセルって…。
………人生一番の恥は乳幼児期だけど。
まあ、俺は程々に第二の人生を楽しんでいる。
綱吉は可愛いし、母さんは優しいし。うん、沢田家最高!
え、父親?綱吉が1歳になる前から行方不明です。―――だから、知らない。別にあんな奴、どうでもいい。
「あれー?アレ沢田の…」
意識を元に戻せば慌てた様子の友達。指さす方向には、綱吉。
「あ、にーちゃん!」
あちらも俺に気付いた様子で、満面の笑みを浮かべたかと思うと走り出した、が。
「あ」
「…ああ、」
べちゃっと。それは見事に転けた。
そのまま動かない。
慌てて駆け寄って抱き起こせば、泣く一秒手前。
「う、……わあああああああああああああん」
「あー…はいはい。悪ぃ、俺コイツの世話があるから」
「おう。じゃーなー」
「ん、また明日」
綱吉の服に付いた埃を叩きながら友人に告げる。
彼は毎度のことなので慣れた様子で帰っていった。
さて、こっちを何とかしないと。
「…綱吉、大丈夫だから」
「ぅえ、っ……ふっぁ…」
「ほら。今日は血、出てないでしょ?」
「う、…ひっく、ん」
「よしよし、大丈夫。…良い子」
目尻に溜まった泪を服の袖で拭う。
必死に泣き止もうと頑張る姿が可愛くて、愛おしくて、思わず頭を撫でる。
「…えへへ」
ご満悦な笑顔、頂きました!
一緒に笑って、ちゃんと手を繋いで、さあ帰ろうと思ったのに。
「…沢田ナマエと、沢田綱吉だな」
闇の底から響いたかのような、冷たい声。
頭の中は警鐘を掻き鳴らす。
早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く。
「?、だあれ?」
早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く。
「死ね」
逃げなきゃ、殺られる。
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