(銀が記憶を失ったらという話を見たので)

「銀」
「……ええ、と?」
「あなたの名前」
「……名前」
「私は、葵」
「葵」
「そう、素敵な名前でしょう」
「すげえ、いい名前だと思うよ」

「そうよ、そう言うと知っていたわ、ずっと前から。知っていたわ」


togi




 今度は私が名前をつけた。あなたの名前は銀。
「葵」
「どうしたの」
「葵」
「銀」
「俺がつけた名前。葵」
「そうよ」

 私はずっと銀の葵。銀が何度忘れても、なくすことのない名前とおもいで。

「なんで俺の名前、銀にしたの?」
「この世でいちばんきれいな銀色だったから」



tohko






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