みじかいゆめ | ナノ



理性を外して @



ー ふう 。


溜息を吐き、願いを込めるようにある一つの下着を掌の中に握りしめた。

明らかに小さな質量と、下着にしては多すぎる紐の質感が存在を皮膚に主張する。


ほとんど「紐」なんだから、仕方がない。


恥ずかしさ、焦り、決意、不安。

色んな気持ちが混ざり合い、これ以上考えても後ろ髪を引くだけだと分かっている。

もうこんな性を振りかざす様な品のない手しか思い付かない自分を振り切るように、握り締めた下着に思い切って脚を通した。


どうか、この精一杯の意思表示に彼が気づいてくれますように。

こんな私を彼が見捨てずに、受け入れてくれますように・・。

スタンッと軽快な音を鳴らして引き出しを閉めた。
・・・リヴァイがどんな反応をするか分からないけれど、とりあえずタイミングを図らないと仕方がない。


とは言っても、今日はこれから滅多にない飲み会。

タイミングは幾らでもあるはずだと、慣れない事への不安にまだ怯えている胸を少しでも励まして上の下着も身につける為に手を伸ばす。

上の下着。所謂ブラも、既に身につけた下着と揃いになっているものでレースと紐だけで作られている。

胸に当て、後ろ手に紐を結ぶ。

顔を上げるとレースでかろうじて乳輪は隠れていて(それでも少し体を動かすと見えてしまう)、まるでレースで胸を飾り付けた様な自分のあからさまないやらしい姿が鏡に映っていた。

「これ・・・・大丈夫なの・・・?!」


流石にいざ自分のあられない姿を見てしまうと、やっぱり不安になって来た。

もしかしなくても裸よりいやらしい・・・よね・・。

そもそもこの下着は、いつも抱かれた翌日は腰が立たずにリヴァイに必ず休みを取らされる私が一カ月以上休んでいないので、ご無沙汰なのだとハンジさんに勘づかれて(多分、ハンジさん以外も薄々気づいていると思う・・。)プレゼントとして貰った物だった。

恥ずかしすぎて着けれないし使う事もないだろうとタンスの奥に仕舞っておいたこの勝負下着を着ける事になるなんて・・・。


「はぁ・・・・。リヴァイのばか・・。」


なんで、こんなにご無沙汰になってしまったのか。考えても分からなかった。

毎日顔を合わせるし、書類を届けたりして顔を合わせると紅茶を淹れてくれるし、話を聞いてくれたり優しく微笑んでくれたりもする。いつも通りの優しい恋人で、違うのはそういう行為が無い事だけだった。

リヴァイは潔癖症で他人と浮気出来るとは到底思えないし、何より本当に普段通りのリヴァイなので浮気は疑っていないけど、やっぱり何かそわそわしてしまう・・・・。


「あっ!やばい!遅れちゃう・・っ!」


悶々と考え過ぎて、余裕を持って準備し始めたはずが時計を見るともうすぐ宴会の始まる時間だった。

「もうどうにでもなっちゃえ・・!」と半泣きで紐とレースの下着を纏った身体にシャツを着せてズボンを履き、部屋を飛び出した。

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