みじかいゆめ | ナノ



ハンジの作ったモノ



「リーヴァイ!」

振り向くと、にやついた顔のクソ眼鏡だった。

巨人捕獲の事をねだるつもりだと一瞬で頭が決断し、見なかった事にして前に向き直る。
こいつのこの顔に付き合うとロクな事がない。

「ちょ、ちょっとお!今振り向いたじゃないかあ!話しがあるんだよお。」

「気持ちの悪い声で呼ぶんじゃねえよ。胸糞悪い。話って何だ。早く言え。」

「もう。リヴァイってば酷いなあ。せっかく私が技術を駆使してナマエを喜ばせるモノを作ってあげたって言うのに!」

「喜ばせる、モノ・・・?」

「そう・・・その名も大人のオモチャ、さ!くぅ〜っ!私が作ったモノでナマエが乱れ狂って・・ふふ!いいねえ!滾るねえ!」

これだよ、そう言われて差し出されたのは明らかに男のアレをかたどったらしい棒状の物で、その脇目には何やら用途不明の小さな突起が生えている。
そのあからさまな卑猥さに虫酸が走り、製作者である目の前の生き物(もはや同じ人間と思いたくない)を睨み付けた。

「いらねえ。」

沸き上がる怒りを必死に抑え、絞りだすように言葉を発して肩抜きしかけたが、今日のハンジはしつこかった。

「何で?!使ってよ!絶対ナマエも喜ぶよ!」

「そんないかがわしいモンを、あいつに使えるか。
それにあいつは十分満足してる。必要ない。」

「それは、ナマエがイきまくりって事かい?」

あまりに不躾な質問に顔がヒクつく。

何たってこいつは他人の営みに土足で踏み入る所かドカドカ走り回って部屋中に泥を撒き散らすような事を平気で言えるのか。

「ああそうだ!分かったらもう消えろ!それはもっと必要な奴がいるだろう。ナイル辺りでいいんじゃねえのか。夫婦生活ってのはマンネリしがちだ。じゃあな。」

今度こそこの変態クソ眼鏡から遠ざかり、ナマエを守る為に足早に去ろうとしたが進路に立ち塞がられて叶わなかった。

もう切り刻んで巨人に差し出してやろうか。こいつも喜ぶだろうとどうしようもない殺意を実行するべく視界に映すと、自信満々といったどこか偉そうな態度で奴は言った。


「リヴァイ・・女はね、イったフリが出来るんだ。」


理解したその言葉の真意をどうにも無視出来ず、睨み付けながらも奴の手の中のモノを握ってしまった。

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