私はそんなに

.


ドカーンという大きな爆発音と共に

自らの体を焼き付けるような熱風と倒壊する建物

ヴィランが出たのだと瞬時に理解し立ち上がる



『轟くん!
ヴィラン?!だよね。爆破系のかな〜
だいぶ威力があるみたいだけど……』


「あぁ、とりあえず俺達は市民の避難誘導だ。いくぞ」


かの有名な雄英高校を卒業して早3年
轟焦凍と付き合い始めて早5年

今日は5年記念日のデート中だった


『(はぁ…折角デート中だったのに…どうして……)』



今思えばきっと、力のあるヴィランにこんな私情をもって立ち向かおうとした私がすべて悪いのだ



ドドドドーーン

3回ほど連続した爆発
それに伴う爆風


危ない、そう思った時にはもう遅かった
目の前にあった瓦礫とともに宙に放り出される体

重力によって降下する最中に体中が瓦礫に当たり、ひどい痛みが走る



あぁ、もう死ぬのか
敵と対峙するわけでもなく、こんなにも呆気なく





ドン!!!っと体に激痛が走り、口の中が血の味しかしない


「っ……!あき!!!」


大好きな人が私を呼ぶ声も遠くに聞こえる

「あき!!!あき!!!!」

『しょうと…くん…?』


「おい、待ってろ、今すぐ救護h「ママぁーーーー!!!パパぁーーー!!!!!」……?!子どもがまだ…!??!」


『しょ、と、はやく、いって
あの子、助けて、?』


「でも、おまえは!!!」


弱くないから


私はそんなに弱くないから、あの子を助けて、ヒーロー



タンッと走り出す愛しい人に

『助けて…死にたくない……』



最期の言葉は届かない


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