シズちゃんってもしかしたらシキュウあるのかも。俺の腹部を指でなぞりながら男がつぶやいた。そのシキュウの意味が分からないし分かりたくもない、のに。シキュウって、子宮のことだよと笑いながら補足をする黒のかたまりが酷く鬱陶しい。腹部に張り付いたまま離れない指で其処をなぞり終わった後は舌を這わせて、下品な水音が耳に入り込む。緩やかにだけど確実に攻め立てるその舌に捩った躰はあっさりと戻され、制御を忘れた口許からはちいさく息がこぼれた。


「食べたいなあ、シズちゃんの子宮」


取り出したナイフの先を舌のあとにあとに這わせて、傷口に滲んだ血にまた舌を乗せて。嗚呼だめだ、きもちいい。あたたかい舌の体温に侵食されるままに熱があがる。不意に顔をあげた男のくちもとには赤が扇情的にまみれていた。びく、と腰がふるえる。まさか、あるはずもないシキュウが、疼いたような気がする。赤がひどく似合うその男の顔にまとわりつく赤がどうしようもなくすきだった。おぼれていると思うんだ。


「シズちゃん、俺はきみが女だったらなんて考えたこともないよ。だけど、きみに子宮があればなんて今おもっているの。そうしたら、今すぐにでもセックスして孕ませて俺だけのものにできるでしょ、なんて。馬鹿なことおもったよ。そう、馬鹿なことなんだ。きみに子宮なんてあれば、他の男のなんて孕まないように奪ったに違いないからね。まあナイフは刺さらないきみだけど、奪う方法はたくさんあるんだよ。馬鹿なシズちゃん、きみの全部が俺をそうさせていくの。ねえ、俺はきみの全部が欲しいよ」


がぶっと効果音が響きそうなほどに勢いのいい噛み付きが躰を駆け巡る。喉元が引き攣った様な声を、口許ごと、おとこの喉奥に飲み込まれる。舌と舌を重ねる恍惚の過程で疼く腹部の奥に小さな光を感じた気がした。でもそれはどこか確実性に包まれていて。




「シズちゃんの胎内で溺死したいなあ」




ふるえる脳内に響き渡るこえに、今この瞬間の子宮の必要性をひどくかみ締めた。
ほしいなあ、子宮。






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