私が変われたのは
私が変われたのは、
最近一人の生徒が随分と変わったと思う。
今まで妙にぼんやりとしたような影が纏っていた彼女は、ある日を境に強い意志を秘めた眼差しを向けるようになり、徐々に微笑を本当の意味で浮かべるようにまでなり、何時しか美しい花となっていた。大人びている少女は明るくなり、学校生活を見ているだけでもかなりの変化が伺える。一体何があったのだろうかと聞けば、少女は艶やかな唇を三日月にし笑い、目を細めた。たったそれだけの仕草、だが妙にどきりとしてまったく知らない存在が目の前に居るようで、少々背中がぞわりとした。
「…私が変わったとしたら、それは…」
皆のお陰――です。
淡い髪をふわりと揺らし、振り返り走っていく少女。そういや最近は決まって放課後は一目散に学校を出ている。家に帰るなんていつでもできると放課後の時間を持て余し、勉強することで時間を潰していた彼女。変化したのは――外に誰か大切な人でもできたことに、よるのかもしれない。
2011/06/04.SAT
「私が変われたのは」
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