それはある日の出会い
それはある日の出会い
―闇夜に閃光が一つ見え、少女は目を細める。
そして瞬く間に彼女の体は光に包まれ、―夜の中に銀の光を帯びた姿が現れた。
「スター・シリアス・レイザー!!」
ぎゅん、と鈍い音を立てて高速の光が腹にぶつかる。
奇妙な格好のそれは悲鳴を上げ崩れ倒れる。
「止めを刺しましょう、ファイター」
「ええ…」
「――待って、ファイター、ヒーラー」
「…どうかした、メイカー」
三人組の女はちらりとある方向に視線を向ける。
―煌く銀のマスク。ふわふわ揺れる重なったスカート。腰のリボンが揺れ動く。
「誰!?」
「………」
女はそれに答えることなく両手に持ったロッドを軽く振る。
唇が動き何かが唱えられ、ロッドから光が溢れファージと呼ばれる存在へ変貌した人間が包み込まれる。やがて光が収まると、それは既に人間へ戻っておりセーラー服姿の女子高生はぐったりとしていた。
「浄化…ですって…!?」
「そんな…!?」
「………」
「っ、待って!」
ファイターと呼ばれた黒髪の女が慌てた顔で呼び止める。だが女はちらりと後ろを見ただけですぐに踵を返し歩いて消えていく。
その女の様子に銀髪と茶髪の女二人が困惑と疑心で顔をゆがめるが、黒髪の女は眠る女子高生に近づきそっと首元に手を当てる。
「ファイター?何してるの」
「…いえ、なんでも」
(正常な脈拍…顔も赤みのさした肌でなんともないし、エナジーも十分あるわ。まさか…そんな。エターナル・クリスタルを持つ者が現在存在するというの…!?“あの女”以外に…私たちの主以外に…!)
ファイターは消えたセーラー戦士らしき女の居た場所を見つめる。
さらさらと髪が揺れ動き、風が吹くだけだった。
2010/12/07.TUE
「それはある日の出会い」
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