「…で、わたしを人質にでも使うのかしら?」
「それもあるが、お前には実験台になってもらうのもある」
「ちょっと、そんなの初耳よ」
迂闊だった、相手は自称と言えど宇宙人。
人体実験など当たり前だと思っていた方が良いのかもしれない。
先程のサッカーも、強化されたものなのだろうか?
「レーゼのサッカーも、実験で強化されたものなの?」
「気安く名前を呼ばないでもらおうか…あぁ、そうだ」
彼が一瞬、位顔をしていたのを私は見逃さない。
多分エイリア学園の生徒たちは元々サッカーが好きだったのだろう。
しかし何らかの実験や手を加えられ、このような状況になってしまったのだと思う。
あくまでもわたしの予想だが。
「で、実験っていったい何されるの?体調が悪くなったりするのは全部パスよ」
「何、すぐに終わるし死にもしない。まぁそれは後だ、ほら着いたぞ」
「無駄に広いわね…」
星の使徒研究所と呼ばれるエイリア本拠地?は迷路のように広かった。
脱出しようにも戻る先は樹海、まさに絶望的状況。
連絡は携帯でこっそりするしかないだろう。
「いいか桜陵、貴様は何があっても逆らうな。特にグラン様達には」
「あ、レーゼ。早かったね」
レーゼが注意を促していると、顔色が少し悪めの赤髪少年がやってきた。
するとレーゼが小声でこっちに向かって言う。
「…この方がグラン様だ」
「え、いきなり?」
どうやらいきなりラスボスさんに出会ってしまったようだ。
「君が、桜陵、十架さん?」
「えぇ、そうだけど」
何かすごく嫌な予感がする。
雰囲気で私が圧死してしまうのではないかと言うほどのプレッシャーのようなもの。
そそいてそれはすぐに起こることになる。
「じゃあ悪いけど、少し眠っててもらえるかな」
「え……ッ!」
お腹のあたりに急激に痛みが走る。
どうやらわたしはあのグラン様とやらに腹を蹴られたようだ。
「あん、た…」
「へぇ、マネージャーって言っても鍛えてるんだね。これぐらいじゃ気絶しないか」
逃げろ、と直感が告げていた。
しかし先程蹴られた部分の痛みのせいで走り出すことができない。
わたしはよろよろになりながらも一歩、二歩とゆっくり足を進める。
傍から見ればそれはとても滑稽な光景だろう。
とにかく逃げられないことが分かっている今、わたしはこの建物で一人になれる場所を探そうと思った。
すると、
「あ、十架さん。部屋は用意してあるから好きに使ってね。言い忘れたけどエイリア学園へようこそ」
「…………は?」
もうこいつら意味分かんない。
Stranger(あ、あとごめんね。気を失ってもらった方が楽だと思ったから)
(……レーゼ、こいつ馬鹿なの?)
(………)
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ヒロト馬鹿すぎて死んだ
うちのヒロトはこんぐらい馬鹿ですどうかお付き合いください^Q^
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