「我々は遠き星エイリアより来た星の使徒である」
「……うん?」
桜陵十架、14歳。
今わたしはものすごい生命の危機に陥っているような気がする。
「単刀直入に言う、我々とともにエイリア学園へと来い」
そう言ったのは緑髪の変な髪型が特徴の自称宇宙人、レーゼさん。
恐らく目的はわたしの誘拐、大方人質あたりだろうか。
「目的は?」
「……話が早いな、分かってると思うが貴様はあの円堂の家に住んでいるのだろう?」
「…それが原因ね」
単純に考えてサッカー部のある学校を潰して回っているエイリア学園がわたしに用があるとはとても思えない。
円堂の家とわたしの家は昔から仲が良い。
わたしは帝国学園に通うため、円堂の家に居候させていただいている。
まさかそれが今回のように裏目に出るとは思わなかった。
「あなたたちはそういうのサッカーで決めるんだっけ」
「勝負しようとでもいうのか?」
「…じゃあ少しだけやらせてもらってもいいかな」
エイリア学園は円堂たちに10点以上差を付けたほどの実力だ。
もちろんわたしはただのマネージャー、いくら帝国学園のマネージャーと言えど勝てる確率は1パーセントにも満たないだろう。
しかし何もせずに負けるのは自らの可能性を全否定しているようなものだ。
「ではせめてもの優しさだ、ルールは簡単。私からボールを奪えば貴様の勝ち。」
「分かったわ」
勢いよく飛び出たところまでは良かったのだが、やはりわたしが勝てるわけがなかった。
少しサッカーしただけでわかる、この子の実力は本物だ。
「…まあ無理よね、やっぱ」
「諦めがついたか、では貴様を連れていくが良いか?」
「……ええ、連れていくといいわ」
しかもこの子たちのサッカーはおそらく、幼いころから毎日やって身に着いたものだろう。
エイリア学園と名乗っている宇宙人たちだが、やはり本質的にはまだまだ子供だ。
外側から変えていくのが円堂たちとするならば、わたしはさしずめこの子たちを内側から変えていけたらいいと思った。
1つだけ心残りがあるとすれば、帝国学園の後輩たち。
世宇子戦で入院を余儀なくされた佐久間たち。
不安に駆られ胸に手を当てると、佐久間からもらったブローチから声が聞こえた気がした。
行ってこいよ、と。
Journey(…行ってきます)
(一人芝居は終わったのか?)
(空気を読みなさい、レーゼくん)
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稲妻連載もちょこちょこ進めていきたいと思いますー
とりあえず佐久間→夢主はデフォだと思っていただければ!
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