Cross Space | ナノ




「隙をついて行くことはできないのかしら」
「…それを俺に言ってる時点で無理だって気付かない?君、意外と馬鹿だね」
「あら、そう言われると意地でも逃げ出したくなるわ
…君を人質にしたのは間違いだったかな」
「12割間違いね…にしても逃げないって約束、守れそうにないわ…ごめんなさい」


十架は頭を下げた。
以前の十架なら、絶対にこんなことはしなかっただろう。
グランはそれが良くないこととわかっていても、十架のまっすぐな瞳の前では何もすることができなかった。


「…あなた、優しいところもあるのね」
「ひどい言い方だなあ、俺だって人間なんだから…まあお願いだって言うならキスぐらいはしてほしかったけど」
「前言撤回ね、あなたやっぱり最悪よ」
「手厳しいなあ」


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数日後。


「デザームたちについていくだけだよ」
「まるで過保護な親みたいね、それじゃあ」
「つーか桜陵だけずりぃんだよ、なあ?」
「…人質の意思をできる限り尊重してやれ、だとさ…父さんも何を考えているのやら」
「その『父さん』とやらには感謝しないとね」


十架が外へ向かおうとすると、バーンとガゼルが溜息をついて何かを言う。
グランはそれを聞かないように、足速く去っていく。


「ったく、俺らもたまにはどっか行きてえよ」
「しかし私たちが外に出られるのは、雷門を倒すときなのだろうな」
「普通に外に出られる訳ではないの?グランはよく出かけるみたいだけど」


素朴な疑問だったのだが、これでは十架と対して扱いが変わらないのではないか。
するとガゼルは忌々しそげな顔、消え入るような声でぼそりと言った。


「…あいつは、父さんの大切な人に似ているらしいんだ、だからあんな勝手が許されるらしい」
「そうだったの…?てっきり『父さん』ってグランの本当のお父さんなのかと」
「違えよ、…帰ってきたらまた教えてやる」
「わかったわ…それじゃ、行ってきます」


扉を開けるとそこは樹海。
ここが一体どこなのか、そんなことはわからないし、知る必要もないと思った。
十架はまたここに戻ってこなければならないし、必要以上のことを雷門に伝えれば、彼らは本当に十架を監禁するかもしれない…あまり考えたくないが。


Departure
(用意はできたか、なら行くぞ)
(マキュアめんどくさいなー)
(あらあら、こちらの用意ができてないみたいね)


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03/17
原作忘れかけてるんでなんか違っても許して下さいヽ(^。^)ノ

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