Cross Space | ナノ




「…行っちゃった」
「どうかした?」
「…あなたか、いや、レーゼが北海道に行っちゃったんだなあ、と」
「まるでもう会えないみたいな言い草だね」


冷笑を浮かべながら十架の隣に座るグラン。
彼は表面上は笑いを浮かべているが、内心では絶対に笑っていない。
表現が難しいがとにかく彼は感情が読めないのだ。
そして十架はそれも気にせず、しかし核心をつくようにあることを聞く。


「…どうせジェミニが負けてもイプシロン辺りが行くんでしょう?」
「よくわかったね、そうさ、ジェミニはエイリアの中でも下っ端みたいなものだし、次はファーストランクが行くよ、…にしてもなんだかレーゼが負けるみたいな言い方だね」
「…ええ、悲しいけれど多分負けるわね…大方北海道のストライカーを雷門に引き抜いて、雷門はもっと強くなる」
「それでジェミニは負ける?」
「おそらくは、…雷門中はどんどん進化するわよ?行く行くはあなたたちにも勝つぐらいに」


グランを睨みつつ、十架は笑う。
その態度が全くエイリアに屈服していない様子で、グランは目をぱちくりさせた。


「…君は不思議だね、ここは敵の本拠地だよ?何されるかもわからないのにそんなこと言って」
「何とでも言いなさい、わたしは事実を述べたまで、…ッ!」
「一応俺はさ、マスターランクで一番になる予定なんだ、…そういう人間に逆らうのは非効率的じゃない?」


やはりグランは笑いながら、かつ冷酷に十架の肩を掴み壁へと押し付けた。
少しだが悲鳴を上げた十架を見て、グランは至極楽しそうに嘲笑を浮かべる。
十架は全身でグランに対し拒否反応を示すが、彼の言う通り抵抗もままならない。
ならば口頭でやるしかない。


「…そ、んな話、本当にどうでもいいわね…!何度も言うわ、これは事実よ…!」
「へえ、まだ退かない?…これでも?」
「…ひッ、くる、し…やめ、なさい、よ!」


薄く笑っていたグランの顔に悲痛の表情が交ざる。
肩に押し付けていない方の手を十架な首に当て酸素を奪う。
しかし力が分散したことにより一時的に隙が生まれた。
もちろん十架はそれを見逃すような人間ではない。


「…はッ、げほっ、…そこまで、怒ることないじゃない、怒りたいのはこっちの方だわ!すぐ暴力に頼るのは、あなたがこの事実を否定できないからよ!」
「ふーん、なるほどね…やっぱり君、面白いや」
「はあ!?人の首締めておいて何よ!こっちは死ぬかと思ったわ!」
「それについては謝るよ、でもそんなことを起こす原因は君にあったんだからね」

「よっぽど負けるのが怖いみたいね」
「…俺は絶対負けないよ」
「そう、ならわたしも言わせてもらうわ、雷門は必ず勝つ」
「…まあやってみればわかるさ、ザ・ジェネシスの称号も手に入れてみせる」




ジェネシスという名前を不審に思ったが、今彼の機嫌を削ぐとどうなるかわからないので不用意だが保留という形にしておく。
一方グランは十架の部屋から出ようとする際、あたかも今気づいたかのように発言した。




「…そうだ、俺今から北海道に行くんだけど、君はどうする?」



Alienation
(…え?)
(いやだから、君も来るか聞いてるんだけど)
(ごめん本当にあなた意味がわからない)


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01/31
バイオレンスヒロトさん
知らない間にちょっと怖い雰囲気になってたなんで\(^o^)/

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