背負うもの
「寒いねぇ」
「そーだな」
じゃあ中に入れよって思いながらも言わない。0組裏庭。こんな寒い中好きこのんで外に出るやつなんて、まぁ私たちくらいしかいないわけで…みんなは教室で話したり、リフレ行ったり。それが正しい行動だと思いつつ、私とナインは裏庭のベンチから並んで座って動こうとしない。故に私たちは二人きりなわけです。というよりも私は若干これを狙っていた。
私は、寒いねぇ、ともう一度呟いた。左隣のナインも、そーだな、ともう一度呟いた。寒いのは暑いのに比べたら、まだましだけど。無防備にだらんと放っておかれているナインの右手に、自分の左手を絡ませた。ナインが少し驚いてこちらを見ている。
「この方があったかいかなって思って」
そう言って微笑みかけると、ナインは真っ赤になって何も言わずに私を睨みつけた。全然怖くないのでそのまま寄り添った。耳まで赤くなってる。何だかんだいって、触れたり触れられたりするのが好きなんだ、この人は。繋いだ手を振り払わないあたり、きっとそういうことだ。
「…なまえ」
「え?…ちょっ、ちょっと」
少しして手が解かれて、そのまま、ナインが私をひょいっと抱えあげて自分の膝の上に乗せた。向かい合わせで。「な、なにすんのっ」私がパニックになっていると、彼はそのまま私のことを抱きしめたのだ。
「この方があったけーだろ、コラ」
ぎゅっ、と抱きしめられて、私がドキドキしてるの聞こえているかも。でもナインがさっきよりも真っ赤になっているのがわかったから。あんまり気にせず私もナインの首に腕を回して抱きついた。私とナインと、さっきよりくっついて、あったかい。
幸せな冬