Dario&Elle03


あの場所は鳥籠だと誰かが言った。

(どうしてこの子はこんなところにひとりなのだろうかと青年は思った)

だけど、あたしはそう思ったことなどなかった。

(思わず手をさしのべてしまった青年は、その行為の意味を遅まきながら悟りはじめる)

それは異常だとその誰かは嗤った。

(もしこの小鳥が自分の手をとったらどうすればよいのだろう、と、青年は少しの恐れを抱きはじめる)

でも、あたしは鳥籠から出たわけじゃない。

(提示した希望に報えないことは、ただの絶望しか生み出さないことを、青年はよく知っていた)

あたしは飽きられたからここにいるだけ。


―――囀らない小鳥は青年の手を取ることなどなく、どこかあどけない顔立ちの、透明で無垢なその目に青年の姿を映す―――

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