碧淵08
少女がどこに向かっているのか、次第にわかってきた。
先遣りであった少女が、泳ぐことをやめた。漂っている少女に追いついて、並ぶ。すると、少女はこちらの背に手を置いた。
そこには暗闇しかなかったけれど、そこに何があるのかは、わかっていた。水底まで夜に染まっているから目ではわからないけれど、肌を撫でる水流に覚えがあった。
ここから逃げろというのだろう。
少女はどうするのだろう。わからないが、少女はここにいる。金色のさかなはどうするのだろう。わからないが、あのさかなはここにはいない。
金鱗はどこだ。
水を蹴って反転する。あのさかなの居場所に心当たりなどほとんどないが、目指してみることにする。少女が追ってくるのがわかる。おれは少女を怒らせただろうか。
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