形影の枝01


 少年とも少女ともつかない肢体の際が、眩いまでの陽光に透けていた。床に寝そべっているなだらかであどけない曲線が、燦然と降り注ぐ陽によって影となっている。あたたかな床板に蔓草のような髪を渦巻かせ、しあわせにゆるんだ頬を組んだ腕に沈ませて、陽だまりに丸まるそのいきものは、すこやかな寝息をたてていた。
 床にころがって眠りこけているいきものは、僕と相似のからだを持っていた。長い睫毛に縁取られた目は黒目がちで、癖のある髪は細くてやわらかい。肉の薄いからだは頼りなく、しなやかな四肢は奔放にすぎた。カルテを携えて定期的にやってくる大人たちは、海辺の家の同居人たちは、僕らを双子と呼んでいた。僕らはといえば、相似のからだを持つ者を、僕は君と、君はきみと、呼んでいた。


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