The tail of a Phouka 01
緑であるはずの樹木は赤かった。枯れて乾いた下草の群れは綿毛のようで、薪が爆ぜるかのような音を立てて揺れていた。天蓋なるは樹皮が砕け降る枝の網。蜘蛛糸が掬う乾涸びた葉が、網のそこここで回っている。 土煙が螺旋をもって中空に舞った。乾きをもって肌を刺す風が、潤いを欠いた森を吹き抜ける。砂よりも細かな土の粒が、青灰の目の少年の頬を叩いた。眼球を貫いた痛みを流すために少年は目をしばたたき、枯れ木の隙間から空を仰いだ。晴れ渡った空には雲ひとつない。 ひりつく風になぶられながら、枯れ枝が塞いでいないというだけの道を少年は進んでいく。やがて少年は葉の無い木々の迷路に拓けた空き地に辿り着いた。滾々と湧きいずる水のきらめきを見つめる青年を少年は幻視した。だが、少年を迎えたのは涸れた泉の痕跡にすぎなかった。それでも、そこには赤い髪の青年が佇んでいた。青年の眼の先では、鳥の頭蓋が嘴を開けて、熱に晒されて脆くなった骨を風に撫でさせていた。