かみさま02
「では、何をもって成功と見なす? 有用性かな? 利便性かな? それとも、扱いやすいとか評されるとか金になるとか、そういったことだろうか?」
違う時の同じ場所で、かつて、これらの球体を生み出し続けているそのひとは、ひとつの問いにそう答えた。
「だが、それはいったい誰にとってのものだい? そんなものは誰かのものでしかない。多くの誰かのものでしかないかもしれないし、影響力を持つ誰かのものでしかないかもしれないが、とりあえず、誰かのものでしかない。それがすべての誰かのものになるのであれば、それこそ奇跡だね」
そのひとはしゃがみこんで球体を弄いながら、悪戯っ子のような笑みを含み、肩越しに振り返って質問者を見遣る。
「それに、そんなことは私にはどうでもいいことだ。私が見たいものは私の意表をつくような何かであって、予定調和的で歴然とした、そういったものではないんだよ」
困惑気味に眉根を寄せる純白の羽根を背負う質問者に、
「要するに、私は気紛れ者なのさ」
と、創世主やら創造主やらそれこそ数多の異名を有するそのひとは、困ったように笑みながら小さく肩をすくめてみせた。
(かみさま/楽園徒然*002)
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