隔離部屋 | ナノ




BASARA(幸村と仮夢主)
(BASARA)

(トリップ夢主だったら、という想定で浮かんだネタです)




消えぬように、はかなさはいつか見た雪のようであると思いながら幸村は静かに両手を握り締める。鮮やかな君の色彩までをも飲み込んでしまう、果てしなく続くこれから訪れるだろう季節を考えるだけでなぜか息が詰まる。某は、ただ、こうあればいいと願っていたはずであろうに。


決して巡り合わない筈の世界の違う女性。


帰るべき場所がある。それを知っていたからこそ伝えられる筈のない己の不器用な心だけが空しく焦燥を抱き残像を飲み込む。下を見てはいけない。そうすると、不意に思い出してしまうから。某よりも幾分か背の低かった彼女の、見上げるように背伸びする姿を。





彼女は自分を春と名乗った。出会った頃が桜の吹雪く季節だからだったなのかは今更確かめる術なんてなく、ただ、あたたかな感触を覚えている両手を精一杯握り締めることでこの溢れんばかりの感情を抑えることができそうな気がして、空を見上げて彼は小さく嗚咽を飲み込む。もう二度と、泣かないように。

(白い闇)







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