□悲しみ堪え難く




千年公は探してる

大事なハートを探してる

私はハズレ


次は誰?






『さあ、あなたは当たりかな?』


力を込めて手を翳す。
地面は重力でボコリと深く沈んでいた。


「…ぐぁっ!」

『ねぇ、当たり?それともハズレ?』

「…は、かっ…!ゲホごほ!!」

『ねぇ、どっち?はっきりしなさいよ』


ググッと手の平を大きく広げると相手にまた翳し、振り下ろした。


「…っぐ、ああぁぁあぁぁ!!!」


相手であるエクソシストには数倍の重力が降り注ぐ。


『…あなた、私の大切な仲間を、よくも殺してくれたわね…』

「…っ、エクソシストが殺人兵器を壊して…何が悪い…っ!」

『…、まだ無駄口叩ける余裕があるんだ』


カーティスは広げていた手の平を徐々に握り締めていく。


『今の重力は2.5倍…、さて、これから倍増していく重力に堪えられるかしら?』

「…っ!?」


一人のエクソシストの背骨はミシミシと軋む音を立てていた。


『5倍』


ズドンと音を立て沈む地面。へこむとはこの事だろうか。
黒の影は、まだ重力に堪えられるようだ。

歯を食いしばりカーティスの方を睨んでいる。


『へぇ、まだ大丈夫なんだ。じゃあ、これならどう?

重力10倍』


「…!!!」


重力は更に増してエクソシストを襲う。とうとうエクソシストは片膝を着いてしまった。


『片膝ついたねぇ。ふふ、私に平伏してるのかな?』

「…誰がっ!」

『ふふふ、エクソシストって威勢が良いねぇ…、けど

もう飽きた』


そういうとカーティスは更に重力を上げ、地面を軋らせる。


「あ゙ぁ゙…っ!?」

『あんたは私を怒らせた。私の大切なアクマを殺した。その罪、あんたの命で償え』


カーティスはアクマを壊したではなく、殺したという。


『レベル2はもう自我に目覚めてる。新たな人間として生まれ変われたのに。…人間と同じ事を考えられるようになってたのに』


カーティスはエクソシストに近付き、見下ろす。


『人殺しはあんた達だ、エクソシスト』


ミシミシと、直接軋む音がカーティスに入ってくる。
カーティスはエクソシストに直に触れ、


『…重力千倍、あんたなんか

潰れてしまえ』



その言葉の後には、エクソシストの姿は形としてなかった。


ざあまみろ、エクソシスト。
カーティスは全て潰れ、ソレが何だったのかすら分からないものを一瞥した。


「カーティス」


不意に聞こえた後ろからの声にカーティス反応し、振り返った。


『…ティキ』


後ろにいたのは正装していたティキだった。


「今度は誰がやられたんだ?」


ティキは全てお見通しの様にカーティスに近づいた。
カーティスは、涙を流してティキに縋り付く。


『…ロアが、エクソシストに…ッ!折角、自我に目覚められたのに』


女の子で、可愛くて、優しかったあの子が、殺された。
カーティスはそうティキに訴えかけた。


『また殺された。あたしの大切な仲間…ッ!!』


あいつらは、あいつらこそが人殺しだ。
カーティスはそういって心を傷めていた。


「…カーティス」

『ティキ、私、…あいつらを許せない。私の大切な家族を消していくあいつらが憎い…ッ!!』

「……」

『本当なら…、あいつらが先にいなくならなきゃいけないんだ…!!』


カーティスはティキのえんび服の袖を掴んで離さなかった。


『あの子達じゃないんだ…!いなくならなきゃきゃいけない子なんて、あの子達の中にはいないんだから!!!』

「そうだな…」

『私の大切なあの子達を…返してッ…!!返してよ……!!!』


泣くカーティスをティキは優しく抱きしめてやった。


「なら、エクソシストに殺されないくらい、アクマ達を強くしてやればいい」

『…してる。アルはもうレベル5』

「え、マジで!?もうそんなのか?」

『そうよ。現在進行形』


ティキは驚いたが、カーティスは普通にかえした。いつの間にか涙は引いていた。



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