□紅い桜が散る










ひらり



花弁が宙を舞う。

植物が鬱蒼(うっそう)と茂る道、そこに立つ影二つ。



ひらり



花弁は円を描いて舞い落ちる。

少女は舞い散る花びらを、やんわり包み込むようにつかみ取り、ゆっくり掌を広げて花びらを見つめる。



『うん、キレイ』



まじまじと見つめる少女は薄く微笑んで



『キレイなものはいつ見ても良いものだよね』



隣にいるもう一人の少女に話し掛ける。

もう一人の少女は軽く頷き、“そうですね”と言い視線を少女から花へと移す。



『綺麗なモノはキレイなままだと良いんだけどね』

「それでも花は散ってしまいます。散ると知っていて花は咲くんです」


『うん、そうだね。…その散り際が私は特に好きだな。一番綺麗で潔いもの』



少女は花を見つめ



『…花は、綺麗で』



己の手を差し伸ばし



『儚くて…』



枝を掴むと



『可笑しいくらいに滑稽だ』



一気に枝を折る。


少女のその華奢な腕では到底折る事は出来ないであろう、その太い枝。

少女はそれを軽々とやってのけた。



『この枝も、水が無ければ枯れるだけ』


隣に立つ少女もその枝を見ると、クスリと笑みを零して目を細める。


「…儚いというより、か弱いだけだと思いますよ?」


少女が触れると、枝は見る見るうちに枯れていった。







『あ〜あ、可哀相。枯れちゃったじゃない』



クスクスと笑いながら少女は枝を放り投げた。



枯れた枝は、乾いた音を立ててポキリと折れた。




『まあ、あながちハズレではないけどね。私、アルのそういう所好きよ?』



「ありがとうございます」



クスリと笑い少女はアルと呼ばれた少女の手を取り歩き出した。




『さあ、帰ろう。遅くなったら怒られちゃう』


「そうですね、参りましょう」




帰ろう、家に



遅くなったら怒られる


家族の皆がお冠


早く帰ろう、大変だ



千年公に怒られる♪




少女は唄いながら手を繋ぎ帰路へ着く。





二つの影は消えていく。

ひらり、 ひらりと舞う花びらに背を向けて

足元に転がる"モノ"を跨ぎつつ、二つの影は消えていく。



蠢き(うごめき)転がるある"モノ"は、二つの影を見つめていた。



辺り一面朱い色。

鮮血のほとばしるその光景。

白装束が紅に染まった。



生きているのは自分一人。

自分以外にも転がる仲間を見つめ、涙した。

守れなくて済まない。

ふがいない隊長で本当に済まない。

見渡せば、白装束を纏う仲間の残骸が目に入る。


「無力な自分を、どうか…恨んで、くれ……」


がくりと全身の力が抜けた刻、ファインダーの男は永遠の眠りに着いてしまった。







千年公は探してる






大事なハートを探してる








貴方は当たり?






確かめよう







貴方はハズレ






次はダレ♪?







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ファインダーの方々はノアの子、そして、主人公の隣にいた、アクマのアルにやられた模様。
以上、"任務"と"お仕事"のぶつかり話でした。

それでは、こちらの連載(更新亀ですが)の方もよろしくお願いいたします(^^)



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