□無言の眼








「ねぇカーティス〜」

『何?ロード』

「ティッキーと何かあったのぉ?」


元帥狩りをしに外に出ていたロードとカーティス。
後は帰るだけという時になってロードが話を持ち出したのだ。
ティキという名前に動揺の色を隠せないカーティス。

肩を上下させて驚いた。


『…べ、別に何も…』

「そぉ〜?なんか最近カーティスがティッキーを避けてるように見えたからさぁ」


カーティスは折角忘れていたのに三日前の事を思い出さずにいられなかった。








「お前の事が好きなんだよ」

『………』


そう言われてしばらくカーティスは固まった。

頭にははてなが並び、思考回路はショートしていた。
理解するまでに時間がかかりそうだ、と思っていたら。



「…って言われたら、女はどれくらいときめく?」

『…………は?』

「いやこの間白の時にな、トモダチに言われたんだよ。イーズが変な事言い出してさぁ」

『………は?!』



“ティキが眼鏡外したとこ見てみたい”

それに便乗して話に男二人も加わって来た。

眼鏡外したら美男子だったりして!

とか

秘密のバイトで女口説いてんじゃねぇの?

とか

なら口説き方教えてもらわないとな!

とか



「俺白の時に眼鏡外した事無いからわかんねぇんだよな。カーティスはどう思う?」

『…』

「…カーティス??」


それはつまり、私を実験台としてためしたという事?


『……じ……ない…』

「カーティス?」

『信じらんない!最低!!ティキなんか嫌いっ!!』

「は?ぇ、ち、ちょっと…」


ティキはカーティスに手を伸ばすがパシリと叩き落とされた。


『触んないで!ティキなんか大っ嫌い!潰れてしまえ!重力10倍!!』

「…ぐぇっ」

『ティキなんか地面とキスしてればいい!』


回復しかけた力を思い切りティキに向け、ティキを潰してカーティスは部屋から出ていった。


カーティスは理解できなかった。
人を題材にして試された。

そんな事して何の得がある。

人間の女でも口説くつもりか。


私に誤解されるような事を言って何の特になる。
痛い目に合うのは自分なのに。
でも同情なんかしてやらない。

人の事馬鹿にしたんだから当たり前の事だろう。

ロードは小首を傾げて自分より背の高いカーティスを覗き込む。


「…ティッキーに何かされたの?」

『されてないっ!何にもされてないから!!』


明らかに怒っている#カーティス。あれからティキの顔がまともに見れない。

というか、見たくない。

人の心を弄んで、何がどれくらいトキメクだって?


『(実験に私を使うんじゃないわよ!!)』


ほんと、ムカつくわ。

失礼過ぎ。

目が合えばこちらからそれはもう極端に反らしてしまう。
だって目を合わせることさえ不愉快極まりないんだもの。


『ティキなんか放っておけばいい』

「(わぁ〜、カーティスがいつになくキレてるぅ)」


ロードは珍しくキレてるカーティスの観察をした。
が、カーティスはにこりと微笑んでロードの手を取った。


『さ、仕事も終わった事だし、お菓子買いに行こうよ』


うーんと沢山買って行こうね。

仕事の後はお菓子が一番だから。

お金はあのホームレスに付けておけばいいよ。
腹黒い言葉を残し、カーティスは無理矢理ティキの話題に区切りを付けた。



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