□見て触れる 「あれぇ?カーティスはぁ?」 家族の一人、カーティスの姿が見当たらないのに気付いたのはロードだった。 「さあ?どっか行ったみたいだけど」 素っ気なく返すティキ。 「えぇ〜?ちょっとやばいんじゃないのぉ?」 ロードは頬を膨らませながらぶすりとした。 「しょーがねぇじゃん?カーティスが外に出たいって言ったんだし」 デビットは椅子にもたれながら、やる気のない声で言う。 「呑気な事言うなよぉ。ヤバイよぉ。連れ戻した方が良いんじゃない?」 「…どうやって?」 「ティッキーはばかぁ?僕は何処にでもいけるんだよぉ?」 「あ、そっか。…てかその呼び方止めてくれない?」 「じゃあ、行ってくるねぇ」 「(人の話聞いてねぇし)…いってらっしゃい」 己の力を使い、ロードは扉の中へと消えて行った。 「まったく、ロードはカーティスにべったりですネ∨」 不意に聞こえた声。 振り向いて見てみれば、それは我等が伯爵。 「…千年公」 いつもの事ながらロードに甘い千年公。 今の勝手に出歩いた事も見なかった事にするのだろう。 「なぁ千年公。ロード行っちまったけど良いのか?」 「ヒッ、そうそう!別にロードが着いていかなくてもカーティスは一人でも平気なんじゃないの?」 アクマも着いてることだし、と声を揃えて双子は言う。 「ロードはカーティスが心配で着いて行ったんデスヨ∨」 「独り歩きくらいでそんなに心配しなくても良くね?」 「ヒヒッ、そうそう!カーティスの方が年上なんだから大丈夫じゃないの!」 疑問を千年公に投げるジャスデビ。その勢いはとまりそうになかった。 「まあ、カーティスの事ですし、あまり心配はしてまセン∨ただ、万が一と言うこともあるんデス∨」 「…万が一?」 なにやら千年公もカーティスの心配をしているようだ。 ジャスデビは分からず首を傾げている。 ティキは短くなった煙草の煙りを吐き出している。 「…ま、カーティスが心配だっていうのは分からなくもないけどな」 「何で?」 「あれ?お前ら知らないの?」 ジャスデビはティキの言葉にキョトンとするだけだった。 「(何だ、知らないのかカーティスのこと)」 ティキは新しい煙草に火を付けて言った。 「あいつ、カーティスはまだ…」 *前│次# back TOP |