2nd.Feb.2018
「魔人探偵脳噛ネウロ」「DINER ダイナー 漫画版」
「辺獄のシュヴェスタ」を読んで、一つわかったことがある。
人の苦痛に強い関心を持つ描き手は、自分の嗜好を満足させる存在として
「めげない心を持った前向きな若く美しい女性」を
作中の重要な位置に登場させるらしい、ということ。
ヤコもオオバカナコもエラも、
みんな主人公や「ドラえもん」でいうのび太ポジションだ。
作者ではないけど、「S.O.S.」でも、
作中のストーカーは好意を持った女性に故意に試練を与えていた。
そうすることによって、より相手の素敵な面が見られるからといって。
それはちょっと解る。
ああいう嗜好の人というのは、
気に入った相手が苦境にあって折れてしまうところではなくて、
強さを発揮して折れないところを見たいものなのだと思う。多分。
試練を与えるのは、苦境を乗り越えるときにその人の美点がより一層輝くから…。
風を受けた蝋燭の灯りは、風が強すぎれば消えてしまうが、
そうでなければ煽られてより一層まばゆい光を放つ。
「ダイナー」の作者も、カナコに対して酷い扱いばかりするけど、
あれはあれでカナコを気に入って大切にしているんだろう。
健全だとは思わないけど。
2nd.Feb.2018
■辺獄のシュヴェスタ
○作品情報
作者…竹良 実
※新人らしい
完結
コミックス全6巻
2017年終わり頃まで連載
小学館「月刊!スピリッツ」
※もっと長期間連載する予定だったが、
作者が連載中に体調を崩したため
急遽予定よりも短い期間で完結させたという噂あり
○ストーリー
魔女狩りが行われていた中世ヨーロッパのドイツで、
魔女狩りによって親を亡くした少女たちを集める修道院が舞台
※作品名の「シュヴェスタ」とは、
「シスター(修道女・修練女などへの呼び掛け)」を意味するドイツ語
少女たちが閉鎖空間に数年間閉じ込められて心身への様々な暴力を受け、
それでも理不尽な扱いに耐えて脱出・復讐を果たそうとする物語
逆境に打ち勝とうとする人々の物語
○コメント
全話まとめて読むと人間讃歌なのだが、色々とヤバい作品
理不尽な暴力を通して人間讃歌を描く点は「魔人探偵脳噛ネウロ」に似てる
精神的にエグい虐待描写がいくつもあるので、
それに耐えられる人なら読んで損はしないと思う
主人公は少女たちだが、少年漫画のような熱い作品
熱い心を持った少女たちが
勇気と知恵と努力によって困難を乗り越えていこうとするストーリー
○総合評価
80点
画力は高め
内容も濃くて、良い
この時代に関する資料をよく調べて書いているようで、ディテールが細かい
しかし、マイナーな作品で読者の数が少ないためにそのことがわかる人が少なく、
私を含めた読者の間でも十分に評価されていないらしいのが残念
2nd.Feb.2018
特殊な嗜好を持つ人々が関わる創作物に触れているうちに、
そういう嗜好が理解できるようになってきた。
状況を大きく動かしたのは、最近読んだ「辺獄のシュヴェスタ」。
このジャンルについて解ったことを語るために
独立したカテゴリを近々設けるかもしれない。
2nd.Feb.2018
※この文章は2/1に書いたものです。
コミックス最新17巻は明日発売だ。
サンイーター先輩のバトルが決着して、
ミリオが敵ボスたちに追い付いてアレとコレと戦って、
もしかするとオーバーホールが
本気を出してくるあたりまで入るんだったはずだ。
この作品で特に盛り上がるところだと思う。
忘れずにチェックしておきたい。
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