〔SS本文、詩など〕
19th.Dec.2015
舞い散る桜吹雪と 鎮魂の社の木々のざわめきの中
「この国を嵐から護る石垣の 一つの石になりたい」と呟く姿
精悍な面立ちと もののふの凛々しさを宿した鋭い瞳
それが君との出会いだった
やがて君は営に入り 乱れ草の模様の隊服に身を包み 銃を帯びて
暴力と死が吹き荒れる遥かな地へ 薬と食糧を運ぶ同朋の護衛に赴き
力なき人々の盾となって 異国の大地に散った
あれから幾星霜が過ぎた
僕の育てた新しい苗は この国の土に根付き
秋が来るごとに 黄金色の波をなし
町々の倉を満たし 人々を潤す
愛しい人よ 遠い地で斃れた君よ
君が愛し 護ろうとした この国を 人を
形は違えども 僕も護り 養い
未来へと繋げよう
この国に幸いあれ
護国の社に眠る君に安らぎあれ
*
[
あとがき]
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BL UNION]
〔SS本文、詩など〕
31st.Oct.2015
「ルファ、まだかな……」
ハーレは分厚いハードカバーの本に目を落としながら、アルバイトの帰りに彼の所に寄ると言っていた恋人を部屋で待っていた。
今日はハロウィンだから、と、先ほど焼いたカボチャのクッキーの包みが机の片隅にある。
そのとき、ドアをノックする音がした。
「はい……って、うわあぁ!?」
ドアを開けたハーレは叫んでいた。
そこには血まみれの死体が立っていた。
破れたシャツは血で真っ赤に染まり、顔も血だらけだ。顔中に塗り広げられたケチャップの匂いが鼻をつき……
ケチャップだって?
何か変だ。
ハーレが違和感を抱いたとき、「死体」がケラケラと笑った。
「お前って本当に騙されやすいな、ハーレ」
「ルファ……!」
ハーレは恋人の名を呼んだ。血まみれ死体の格好は彼なりのハロウィンの仮装なのだ。
「もう! びっくりしたじゃないか」
「ははっ」
「バイトお疲れ様。ほら、カボチャのクッキーだよ」
ハンカチを出してケチャップを拭いているルファを部屋に迎え入れながら、ハーレはクッキーを渡す。
「おお、うまそうだ」
だけど死体の格好をした恋人はそう言いながらクッキーの包みを早々にポケットへしまうと、ハーレを抱きすくめて、ぐいぐいと部屋の奥に向かって押しながら歩き始めた。
「ちょ、ちょっと!? 何を……」
突然のことに戸惑いの声を上げるハーレにルファが言う。
「決まってるだろ? トリック・オア・トリートだ」
「だからクッキー(treat)をあげたじゃないか」
「今日は恋人に体でもてなし(treat)てもらうか、ベッドで悪戯(trick)をするか――そういう日だ。違うか?」
「そんなのって……」
めちゃくちゃだ。
呆れてものも言えないハーレを抱き締めたまま、ルファはさらに足を進める。言葉を交わす間にもじりじりと後退させられていた。壁際に置いているベッドの縁がハーレの脚に当たる。
ハーレをベッドに押し倒しながらルファがにやりと笑い、冗談めかした口調で言った。
「いつも難しそうな本ばかり読みやがって。活字に恋人を奪われる俺の身にもなれよ」
「ご、ごめ……」
「今夜は俺のことだけ考えてもらうからな」
頬や唇に恋人の口づけが落ち、熱を帯びた声が耳元で響く。
「……うん」
ハーレはルファの背中に手を回して、きつく抱き締めた。
熱い悪戯の応酬を繰り返して、夜は更けていった。
*
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あとがき→[
「Trick or Treat!」あとがき]
〔SS本文、詩など〕
9th.Apr.2015
つないでいた手を一度は離してしまった
陽の当たる世界でふたり生きることはできないと思った
だけどもう二度と離さない
世界が僕らを許さなくてもいい
祝福されなくたっていい
君は僕のすべて
共に生きていこう
いつまでも君と
〔SS本文、詩など〕
13th.Mar.2015
【愛知】刃物14本を腰に吊り下げ歩いていた28歳の男を逮捕…刃渡り43.5センチのナタも(写真あり)★2
http://daily.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1426174623/286 名無しさん@1周年 sage 2015/03/13(金) 04:41:45.04 ID:vxuHodCa0
ホワイトデーのお返しは「俺自身」
その日は綺麗に着飾って俺を食べてもらうんだ
バレンタインデーで何も貰ってないけどそんなの一切気にしなくていいよ
ホワイトデーは最高の俺をプレゼントするよ
*
なんという…。
信じられるか?これ、2ちゃんで一番硬派なニュー速+板の書き込みなんだぜ。
〔SS本文、詩など〕
4th.Mar.2015
予告通りに更新できずにすみませんでした。
設定を煮詰めたら大幅な手直しが必要になってしまった。
ちゃんと直すと数日かかりそうなので、ひとまず会話形式の落書きを投下しておきます。
・設定
ギルドメンバーの食事を自分たちで作る冒険者ギルドの男たち
料理を担当するメンバーの腕によっては悲惨なことになる
むしろ悲惨なことになる場合の方が多い
・登場人物
フレン、テラ、エアル、アクア…ギルドのメンバー
ベア、ヴァイ…ギルドの幹部
*
冒険者ギルドの拠点
テラ「フレン、今日の料理当番は君だぞ。ちゃんと作ったんだろうな」
アクア「この前は丸のままのリンゴと、根本から剥いだレタスの葉っぱだけだったけど」
フレン「毒になるものは作ってねえよ。ほら」
エアル「パスタか。…って、何か引っ掛かる言い方だな」
テラ「おい、これ生煮えじゃないか! アルデンテとかいうレベルじゃないぞ!」
フレン「文句あるかよ!? いやなら食うな」
エアル「ふざけるな、こんなもの食えるか!」
アクア「パスタっていうのは作るときに一度加熱してあるから、食べられなくはないだろうね」
エアル「そういう問題か! フレン、お前飯作りを舐めてるだろ!」
フレン「うるせぇ! 大体、モンスターを倒すのに料理の腕は必要ねぇ!」
ヴァイ「ベア。料理がまともにできるメンバーを入れないと、あれじゃ他のギルドに冒険者を奪われるぞ」
ベア「それは困るな…」
〔SS本文、詩など〕
19th.Feb.2015
三○一号室の君と二○三号室の僕
はた目には仲のいいご近所同士
時間が合えば一緒にご飯を食べ 互いの部屋にも泊まる
秘密の幸せな暮らし
今日は僕が休みだから 二人分の食事を僕が作る
仕事から帰ってきて普段着に着替えた君が 僕の部屋に来る
二人きりの夕食 たわいもない会話
静かで満たされた時間
だけど僕はつい二時間前から 君に隠し事ができた
今夜のメインの鶏雑炊は 水加減を失敗したご飯をごまかして作ったものだ
美味いと喜ぶ君の笑顔に 僕の胸がちょっぴり痛む
〔SS本文、詩など〕
6th.Nov.2014
BL耐性のない方がこのページに直接来てしまう可能性があるようなので、
本文は追記に移動しました。
BLにご理解のある方だけ、追記ページにお進みください。
追記を読む
〔SS本文、詩など〕
2nd.Nov.2014
BL耐性のない方がこのページに直接来てしまう可能性があるようなので、
本文は追記に移動しました。
BLにご理解のある方だけ、追記ページにお進みください。
追記を読む
〔SS本文、詩など〕
2nd.Nov.2014
東の空に満月が煌々と輝いている。ロザリアの王であるアムレスとその部下シルヴァは、城のテラスに佇んで語らっていた。
「王。先日のシュヴァルツの砦攻めは見事な采配でした」
長身でやや痩せぎみの、眼鏡をかけた部下の言葉に、武人らしい筋肉質な体つきの王が応じる。
「天候にも助けられたな。勇猛な朱鷲族の奴らも、雨の中では赤子のようなものよ」
頭の両脇にぴんと立った三角形の耳介と、実った麦穂のような金色の髪、そして髪と同じ金色の毛に覆われた尻尾を持つ天狼族のアムレスが語る。王の瞳は、中天に昇ろうとしている月よりもなお鮮やかな黄金色を湛えている。成人してからすでに数年が経ち、世継ぎの子がいてもおかしくない年のアムレスがいまだに妃もめとらずにいるのは、彼が女よりも男を好むゆえであった。
「我が軍は順調に領土を広げていますね」
「ああ。遠からずこの一帯を手に入れて、やがては天下を……な」
王のそれよりも大きな三角形の耳介と長い銀髪、そして銀色の毛に覆われた太い尻尾を持つ魔狐族のシルヴァが微笑した。
「頼もしいお言葉です」
「お前にも随分助けられているぞ」
言いながら王が隣にいる部下の腰に手を伸ばすのを、シルヴァはすっと身を引いてかわした。
「私は、そういった意味であなたにお仕えするためにこの城にいるわけではありません」
「つれない奴め」
アムレスが不満そうな声を上げるが、部下は眼鏡を直しながらそっけなく言う。
「私にこだわらずとも、アムレス様の閨に自ら望んで侍る者などいくらでもいるでしょうに」
そういうことではない、とアムレスが呟くが、シルヴァは聞く耳を持たない。
「さて、私はそろそろおいとましますよ。カントレー地区の麻の栽培に関する文書をまとめなくてはなりません」
政と軍略の両面で功績を上げている賢将が去った後で、アムレスはテラスに残って夜風に吹かれながら一人ごちた。
「魔狐族のシルヴァか……。いつかはあいつを我がものにしたいな」
王と部下という関係ではなく、と呟く。勢力を拡大しながら、なお多くのものを手にしようと望む天狼族の王を、空高く昇った満月が明々と照らしていた。
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