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身体が仰向けに倒されたかと思うと、覆い被さるように身体を重ねてきた半兵衛がするりとなまえの唇を撫でた。
半兵衛の中指が優しく触れる感触が官能的でありくすぐったくもあり、なまえの身体が震えた。


「半兵衛様、あの…」
「なまえ…」
「っ、はい」


半兵衛の口からは続く言葉は紡がれず、なまえは半兵衛と見つめあったまま、ただじっと身を竦ませる。
急にどうしたのだろうかとか、半兵衛様の肌は綺麗だなとか、取り留めのない事ばかりが脳裏に浮かんでは消える。
混乱しすぎて、何をどう考えて良いのかが判らないのだ。


「なまえの唇ってさ…すごく綺麗だよね」
「半兵衛、様っ…」
「それにさ、」


ぐっと顔を近づけられたかと思うと、ちゅっと音を立てて互いの唇同士が触れ合う。
余韻を楽しむかのようにゆっくりと離れて行く半兵衛の唇に、なまえは全身の血が沸騰したのではないかと錯覚するほどの熱を覚えた。
半ば放心状態とも言えるなまえの様子を眺める半兵衛はと言うと、実に嬉しそうに口角を吊り上げながら、眩しいくらいに愛らしい笑顔を見せた。


「うん、やっぱり思ったとおり柔らかいね」
「っも…急にこんな……」
「なまえの唇がおいしそうなのが悪い。だからこれは必然なの」


いつもぐうたらして見せるのが半兵衛の振りだと言うのは判っていても、やはり真剣な眼差しを向けられるとなまえは太刀打ちできない。
おっとりとした柔らかな空気を纏っているのが、半兵衛の常だと思っていたのに。
男を感じさせる凛々しい表情と情熱的な行為を見せられては、なまえの心が落ち着かなくなるのも致し方ないことである。


「俺はね、いつでもなまえをこういう目で見てるよ」
「こういう…って、その…」
「なまえが好きだから、全部俺のものにしたいってこと」


誰にも触れさせたくないくらい、なまえが好きなんだよ。
そう言ってニコっと微笑んだ半兵衛の笑顔に、なまえは甘い目眩を覚えるのだった。



口付けてつかまえて



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