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火照った肌に、ひんやりとした指先が心地よい。
なまえは己の肌を撫でる官兵衛の指遣いにうっとりと瞳を閉じた。
ふわりと重なる唇の感触に、胸が高鳴る。


「官兵衛様…」
「…」
「もっと、官兵衛様に触れていただきたいです…」


言葉で答える代わりに、官兵衛の口付けがなまえに応える。
大きな手に頬を包み込まれながら、なまえは咥内に差し込まれた官兵衛の舌先に翻弄された。
衣の擦れる音がやけに大きく聞こえるのは、官兵衛が無言のままだからだろうか。
それでも不安に思うことがないのは、なまえに触れる官兵衛があまりに優しいからだろう。
頬を撫で、髪を撫で、背中に回された官兵衛の腕が、ふわりとなまえを包み込む。


「なまえ…」
「っ、」


名前を呼ばれただけでなまえの身体は熱が帯び、官兵衛を抱きしめる腕にも力が入る。
ねだるように何度も唇を重ねるなまえに、官兵衛の瞳も愛おしそうに細められた。


「官兵衛様…」
「そう強請るな…」
「っ、でも…」


なまえが言葉を紡ぐよりも先に、唇が塞がれる。
口付けるだけだというのに、身体の芯から蕩けるほどに全身が火照ってゆく。
半ば縋りつくような状態になりながら官兵衛の腕に収まるなまえに、官兵衛の口からは思わず笑みが漏れた。


「卿は、我が火種だった…」
「…今は、違うのでしょうか」
「無論。今や卿は…火種とは呼べぬ程大きな炎となっている」


額の髪を掻き分ける官兵衛の指先も、いつの間にか熱がこもっていた。
官兵衛と触れ合っているだけで、どうしてこんなにも幸せを感じられるのだろうかと思わずには居られない。
するりと帯紐に手を掛ける官兵衛に身体を委ねながら、なまえはしっかりと抱き寄せた彼の耳元に大好きですと囁いた。



求めれば求めるほどに
(あなたへの愛しさは募るばかり)


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