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「俺は寝相が悪いからねぇ…アンタを蹴っちまうかもしれないぜ?」


突然のお願いにも笑いながらそう告げた慶次は、ポンポンと布団を叩いてなまえを招き入れた。
自分の腕を枕にしながらなまえを見つめる慶次の瞳が、とても優しく細められる。
じわりと頬が染まるのを感じながら、なまえは少しだけ俯いた。


「なまえは物好きだねぇ。潰されても知らねぇからな」


よしよしと頭を撫でる大きな手に、なまえは胸がきゅうと締め付けられるようだった。
慶次はガサツで大雑把を気取りたがるが、実はそうではないということは良く判っている。
今こうしてなまえの頭を撫でる手ですら、とても優しくなまえを包んでいるのだから。
慶次の気遣いに感謝をしながら、なまえの頬は自然と緩んでいくのを止められない。


「なんだい、笑って」
「いいえ、なんでもありません」
「そうかい?ま、アンタが嬉しそうだから良しとするかね」


ニッと笑顔を向けた慶次は、なまえの身体をぐいと引き寄せる。
急激に縮まった距離に驚く間もなく、互いの鼻先がつん、とくっ付き合い、そのまま柔らかな唇が重ねられた。
ただ唇が触れただけだというのに、どうしてこんなにも心臓が激しく音を立てるのか、なまえは不思議でならなかった。
慶次に触れられるのが、なまえには心地良くて仕方がないのだ。


「そんな顔されちまうと、困っちまうねぇ」
「え…?」
「眠るどころじゃあなくなっちまうだろ」


するりと頬を撫でてやれば、なまえの瞳がとろりと熱を帯びてゆく。
愛しい人のそんな表情を見せられては、自制するのも一苦労である。
もう一度だけなまえにくちづけると、慶次はなまえの胸元に顔を埋めてゆっくりと目を閉じた。
遠慮がちに頭を撫でるなまえの手の感覚を楽しみながら、慶次は心を落ち着かせるのだった。



Lie Down With You
(添い寝シリーズVol.9)


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