背中に回された幸村の手が、とても熱い。
何度も何度も触れては離れる幸村の唇を受け止めながら、なまえは身体の芯から蕩けてしまうような感覚に酔いしれた。


「可愛い…」
「んっ…」
「なまえと居ると、触れたくなります」


二人で並んで話をしていたはずなのだが、気付けばなまえの身体は幸村の腕の中だった。
幸村があまりに物欲しそうな顔をしてなまえを見つめるので、なまえは思わず目を逸らしてしまう。
それが幸村の目にどう映ったのかは分からないが、優しく引き寄せられ、なまえはこうして幸村の口付けに身を熱くしているのだ。
時々なまえの頬を撫でてはきゅうと強く抱きしめてみたり、音を立ててなまえの柔らかな唇を吸ってみたり。
そんな幸村に身を委ねながら、なまえもそっと幸村の背に手を回してみた。


「幸村様、急にどうされたのですか」
「何故？」
「だって…」
「なまえ、頬が赤いです。照れているんですか？」


図星を突かれたなまえがふいと顔を逸らそうとするも、その動きは幸村によって封じられる。
先ほどまでとは違い口付けが深いものへと変わり、なまえは鼻に掛かった甘い声を漏らした。
舌の先端を甘噛され、思わずなまえは身体をひくりと震わせた。
そうでなくとも火照ったなまえの身体が、一層熱を帯び始める。


「も…っ、幸村様…」
「なまえ、もう少しだけ…」


身体の芯が疼き出しそうになるのを懸命に堪えるなまえに、幸村の口付けは止まらない。
くちくちと音を立てながらなまえの唇を割り開く幸村の舌先は、なまえの咥内を掻き乱し続ける。
抱きしめて口付ける以外には手を出そうとしないことに、なまえはだんだんともどかしさを感じてしまうほどであった。


「幸、村っ…」
「…足りませんか？」
「やっ…」
「嫌、でしたか？」
「っちが…い、ます…」


わざと意地の悪い質問を繰り返す幸村に、なまえは今度こそ幸村から顔を背けた。
懲りない幸村はそんな反応ですら愛おしそうに、露になったなまえの首筋に唇を這わせる。


「こんなにも心が乱されるほど、なまえを愛おしく思っています」


なまえの白い首筋に赤く咲く痕を残すと、幸村は一際強くなまえの身体を抱きしめた。
どんなに口付けようと、どんなに抱きしめようと、この想いの全てを伝えられないのがもどかしい。
愛しいなまえの香りを全身で堪能しながら、幸村はゆっくりとなまえの衣に手を掛けるのだった。



こんなにも愛してる人なのに
（うまく言葉に出来ないのがもどかしい）