sleep | ナノ

「じゃあほら、腕枕してやるから」


ぽんぽんと布団を叩く清正に甘えて、なまえはするりと清正の隣に身体を横たえた。
頭を逞しい腕の上に乗せると、清正の腕はなまえの頭を巻き込むように抱き寄せる。
急に間近に迫った清正の整った顔にどきどきしていると、ふわりと微笑んだ清正がなまえの額に口付けを落とした。


「なんだ、急に甘えて」
「…理由はないんですけど……」
「いいさ、理由なんてなくたって」


甘えるお前は可愛くていいな。
嬉しそうになまえを抱き寄せる清正に、なまえは安堵の溜息を吐いた。
我が侭を言うな、と追い返されるのではないかと心配しただなんて、こんな穏やかに笑う清正を前にしては口が避けても言えない。
安心感からすっかり心が落ち着いたなまえはそのままゆっくり瞼を閉じてみるが、ごそごそと清正が動く気配に意識が囚われる。
なまえ、と囁く声が突然耳元で聞こえ、びくりと身体を竦ませて目を開くと、急に背中が粟立つような感覚が身体を走った。
熱い舌先がなまえの耳をなぞって首筋を下ろうとしていることに戸惑いながら身体を強張らせていると、悪い悪い、と清正の笑う声が降ってきた。


「お前があんまりすぐに寝ようとするからさ、ついからかいたくなっちまった」
「も、ひどいです…」
「馬鹿、ひどいのはお前の方だよ」


全然警戒しないで寝ちまうんだから、と清正は笑いながらなまえの頭を撫でてやった。
なまえが安心して身を寄せてくれることは嬉しいのだが、警戒心が全くないのでは男としては悔しくもあるのだ。


「もうしないから、今度は安心して寝ていいぞ」
「…そんなこと言われたら警戒しちゃいます」
「素直じゃないなぁ…。ま、俺が悪いんだけどな」


謝罪の意味を込めて優しくなまえを包み込んでやると、なまえは警戒しながらも清正に身体を預けた。
つい、という気持ちでなまえを困らせることばかりをしてしまう自分が滑稽で、清正の口元は思わず緩む。
自分の言動に逐一反応をくれるなまえが好きなのだ。
そんな自分が子供のようだと判っていながらも、やはりなまえが自分にだけ見せる表情がもっともっと見たくなる。


「…ダメだ」
「?」
「お前と居ると、幸せすぎる」



なんでもないような会話やなまえとのやり取りがいちいち幸せで、このまま眠るのがもったいない。
そんな思いに駆られながら、清正はなまえを強く抱き寄せた。
明日もここで寝ろよ、となまえの耳元に囁きかけると、なまえの頭が僅かに頷くのが目に入り、清正は満足げに顔をほころばせたままで静かに瞳を閉じた。




Lie Down With You
(添い寝シリーズVol.7)

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