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感情表現が苦手で、人付き合いも不器用で、己の心に素直じゃない自分自身に御剣は時々嫌気が差していた。
対極に居るような成歩堂が羨ましいと思うことすらあった。
被告人を有罪にするためだけに生きてきた頃は、毎日がただダラダラと流れていくだけで、そんな日々を気だるく生きていた。
そんな自分を変えてくれたのはなまえであり、おかげで今は彼女が喜んでくれることに幸せを感じる。


「なまえ、その…ありがとう」
「どうしたんですか、急に」
「ム…いや、」


黙り込んでしまった御剣に、くすくすと笑うだけでそれ以上は詮索をしない。
そんななまえが、御剣にはとても心地が良かった。
今の御剣にとって、なまえの笑顔のためであればなんでも出来てしまうのではないかというくらい、それくらい彼女の笑顔のおかげで毎日が輝かしく感じるのだ。


「なまえが居てくれて、毎日が充実している。キミと出逢ってからそう思うようになった……」


照れくさそうにそう彼女にそう告げると、御剣はその気恥しさから逃れるかのように一口紅茶を口に含んだ。
そっとなまえの方を見やると、御剣の目に映ったのは彼女の何とも言えない嬉しそうな笑顔が。


「私もですよ、御剣さん」
「ム……」
「私も、御剣さんと過ごす毎日がすごく充実してます」


私こそありがとうございます、と告げたなまえの輝く笑顔を前に、御剣はただ照れながら紅茶を飲み干すばかりだった。





でも、君と出逢えた運命に
(照れくさいけど感謝してる)


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