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なんと例えたら良いのだろうか。とにかく、心地好い。
それ以外には例えようのない香り…。
心が落ち着くというだけではなく、苦しくなるほど胸が締め付けられる。


「なまえ殿、そんな顔をされては…」
「え…?」


幸村の胸に顔を埋めていたなまえは、うっとりとした表情で幸村へと視線を向けた。
なまえの目に映ったのは、彼の何とも言えない悩ましげな顔。
目があったと思ったら、幸村はすぐになまえの視線から顔を背けた。


「…幸村様?」
「あ、いえ…すみません……」


ほんのりと頬を染めた幸村は、なまえから目を逸らしたままでふう、と大きく息を吐く。
なまえの背中に回された幸村の腕はといえば、彼の仕草とは裏腹に強くなまえを包み込んでいる。


「そのような顔をされては…私も自分を抑えられません……」
「ごめんなさい、幸村様の香りがあまりにも心地好くて」
「なまえ殿…」


幸せそうに瞳を閉じ、なまえは幸村の胸へとすり寄った。
なまえの背中に回されていた幸村の腕は、なまえの髪を撫で、頬を包み込み、そしてゆっくりと視線を合わせるようになまえの顔を持ち上げる。
熱を帯びた瞳が自分を捕えている、その事実だけで幸村は身体が熱くなって行くのを感じた。


「すみません、もう…」


言葉を発する時間ですら惜しいと言わんばかりに、幸村は性急になまえの唇をふさぐ。
角度を変えては何度も唇を重ね、幸村はまるでなまえの吐息ですら逃さぬように徐々に深く口付けを落とした。


「っん……幸っ、」


執拗なまでになまえの舌先を絡め取る幸村は、そのままゆっくりとなまえの身体を押し倒す。
重なり合ったままで漸く唇を離した時、幸村の目には息を上げたなまえの姿が映った。


「っ…もう、幸村様の香りで…おかしくなってしまいそう……」
「私も……なまえが愛おしくて仕方がない…」


見つめ合い小さく微笑むと、二人は再び唇を重ね合った。
互いの身体が熱を帯びて行くのを、ただただ至福に感じながら…。




君の香りに染まりたい


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