sleep | ナノ

寝入り端の途切れそうな意識の中、なまえの耳に微かに届いたドアを開ける音に薄っすらと重たい瞼を押し上げてみると、真っ暗な部屋に白いスーツの大きな後姿が目に入った。
なまえを起こさぬようなるべく音を立てないようにと龍司が気遣ってくれている事が、眠気に襲われていたなまえにも良く判った。
スーツの上着をハンガーに掛け、龍司がワイシャツを脱ぐと、鮮やかな黄龍が彩る逞しい背中が露になった。


「っ、あ…」
「ん…なんや、起きてもうたんか」


上半身のみ素肌を晒して振り返った龍司は、静かな柔らかい声でただいまとなまえに告げた。
そのままベッドサイドまで距離を詰める龍司に、なまえも囁くような声でお帰りなさいを送る。
龍司はベッドの端に腰を下ろすと、布団に包まれたなまえへと手を伸ばし、愛おしそうな手つきでなまえの頭を撫でてやった。


「なまえ、起こして悪かった」
「いえ、そんな…」
「シャワー浴びて来るさかい、なまえは先寝とき」
「あ…、の」
「ん?どないしたんや」


実はすっかり目が覚めてしまったなまえは、何かを口ごもりながらも優しく頭を撫でていた龍司の手をそっと握り締めた。
目の前に露になった筋肉質で大きな背中を目に、なまえの身体はすっかり龍司を欲してしまっていたのだ。
はっきりと口に出してねだる事などは恥かしすぎて到底なまえには出来そうになかったのだが、龍司がシャワーを浴びに不在にしてしまう時間ですらも惜しいと感じていたのは事実であった。
布団を剥いで身体を起き上がらせると、なまえは無言のままで龍司の背中へと頬を寄せるように抱きつき、両腕をするりと割れた腹筋へと絡ませた。


「なまえ…わしを誘っとんのか?」
「龍司、さ…」
「お前がその気なんやったら、わしも遠慮はせぇへん。ええな?」


どこか上機嫌なトーンでなまえに語りかける低音に、なまえは堪らずぎゅうっと抱き縋る両手に力を込めた。
温まった布団の外はひんやりとした空気に包まれているというのに、なまえの触れる龍司の身体はすっかり熱を帯びていた。
龍司の手がなまえの手に重ねられたかと思うと、抱きついていたなまえの身体は簡単に龍司から引き剥がされる。
再びベッドに横たわる事となったなまえの上には、覆いかぶさるように龍司の鍛え上げられた上半身が重なった。


「お前がそないに誘うなんて…珍しい事もあるんやな」
「ごめんなさい、疲れて帰って来たのに…っ、」
「阿呆…んなもん、お前が気にする事やない」


スッと細められた瞳に捉えられると、なまえの唇はいとも簡単に龍司によって塞がれる。
まるで貪るような激しい口づけでなまえの咥内に舌を這わせる龍司の舌技で、脳の芯が少しずつ痺れていくような感覚がなまえを襲った。
時折擽るように上顎を舐め上げられると、それだけで全身が跳ね上がるのをなまえは止められなくなる。


「可愛ェ声してよう鳴くな…」
「っん…」
「無茶苦茶に犯したるわ、なまえ…覚悟せぇ」


にやりと口角を吊り上げて囁かれた龍司の一言だけで、なまえの子宮の奥がもどかしく疼く。
龍司の全てを求めるようにその広い背中へと手を伸ばすと、なまえは龍司の黄龍を包み込むように抱きしめた。


「龍司さん…、」
「ん?」
「いっぱい、して…?」
「嗚呼、当たり前や…」


再び唇が重ねられると同時に、龍司の大きな手が寝巻きの上からなまえの胸を揉みしだく。
時折気まぐれに胸の突起を弾くその刺激に甘い震えを覚えながら、なまえは精一杯龍司に縋るのだった。



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