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「狭い…足がはみ出るではないか」


文句を言うならば、何故三成は同じ布団に入り込んできたのだろうか。
心では疑問に思っても、なまえはそれを口にはしなかった。
ぶっきらぼうになまえに文句を言う三成が、さっきからなまえと目を合わせようとしないのだ。
照れているときに見せるその癖を三成に見て、なまえは顔が緩むのを抑えることに必死だった。


「…何を笑っている」
「笑ってなどいません」
「いや、笑っているだろう。…気に食わん」


言動に伴わず、三成の腕はなまえの背へと回されている。
少し遠慮がちに触れられているのが、なまえには照れくさくも嬉しかった。
足先をほんの少し伸ばしてみれば、三成の足にちょんとぶつかる。
「っ!」と声ともつかない声でびくりと動いた三成に、なまえは幸せを感じた。
布団を被ってまもなく三成が突然やってきたことには戸惑いを覚えたが、こうして近くで眠れることは案外三成の素顔を見られる良い機会だな、などとなまえはのん気にもそう考えていた。


「さっきから何を笑っているのだ。言いたいことがあるなら言えばよいだろう」
「そんなに私の顔がお嫌でしたら、向こうを向いて寝ますから」


わざとそう告げてくるりと三成に背を向けると、ぐ…と三成が言葉に詰まる気配が感じられた。
それでもなまえは構わず背を向けたまま言葉を発さず、静かに瞳を閉じた。


「なまえ…」


切なげな声が耳に届き、その瞬間になまえは強い力で背後に引っ張られた。
腰から胸元へと無遠慮に三成の指が走り、その感覚に思わずなまえの唇から嬌声が漏れる。


「俺に背を向けるな…」


首だけ振り返ってみると、三成は安堵の表情でなまえを見つめていた。
なまえの身体ごと三成に向き直らせると、ぎゅうと力強い抱擁でなまえを包む。
俺を振り回すな、と小さく囁かれた言葉に笑顔を浮かべたなまえは、三成様こそと応えると、そっと彼の背中に手を回すのだった。



Lie Down With You
(添い寝シリーズVol.3)

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