sleep | ナノ

シュッ、と音を立てて緩められたネクタイに目を奪われていると、なんですか、と峯から視線が投げかけられた。
慌ててふるふると頭を振ってなんでもないとアピールするも、峯はなまえが座ったソファの目の前まで距離を詰めてきた。
ソファの背凭れに両手を押し付けてなまえを両腕の間に閉じ込めると、吐息が触れる距離で峯がなまえの名を呼んだ。


「きちんと要求を告げないのは貴女の悪い癖ですよ」
「で、も…」
「なまえさん…、もう顔に書いてあるんですから。早く言ったらどうです」


真顔の峯にじっと見つめられては、気恥ずかしさでなまえの頬が染まる。
峯の視線を逃れようとして顔を背けると、耳元でふっと峯が笑う気配が感じられた。


「俺に…触れて欲しかったんでしょう?」
「っ、そん…な、」
「違いますか?」


指の背でなまえの頬を撫でながら問いかける峯に、なまえはぞくりと身体が震えた。
段々と頬を滑り落ちてゆく峯の指先は、首筋を伝いながら胸の膨らみに達した。
熱の籠もった吐息が口を突いて漏れると、ギシ…と軋みを上げながら峯の右膝がソファの上へと体重を預けた。
耐え切れず縋るような視線を峯に投げかけるなまえの目には、微かに口角を吊り上げて笑う峯の顔が映る。


「貴女がはっきり言わないのなら、このまま止めても良いんですよ」
「峯、さん…っ、」
「どうします?」
「や…め、ないで…」


振り絞るように哀願すると、嬉しそうに歪められた唇がなまえの唇を塞いだ。
口づけられながらなまえの手が取られたかと思うと、峯に導かれるようになまえの指先には先ほど緩められたネクタイの結び目が触れた。
唇を割って入り込んだ舌先に翻弄されながらも、なまえは自ら峯のネクタイを外しにかかる。
その間にも服の上から胸の突起を転がすように刺激する峯に、もどかしさでなまえの理性が奪われてゆく。


「峯さん、っ…」
「なんです?」
「あ…っ、も…ちゃんと、っ…」
「仕方ありませんね…」


なまえの服を捲り上げると、峯の指が胸を覆い隠す下着を僅かにずらす。
露になった突起を指で摘みながらキスを続ける峯に、なまえの両脚がぎゅうっと重なり合った。
秘所の中心に感じる熱に、身体が勝手に跳ねるのだ。
ひとつずつ峯のシャツの釦を外すなまえの背には峯のすらりと伸びた指先が回され、器用に片手で止め具が外されたかと思うと、なまえからは胸元の圧迫感が消えた。


「ベッドに行きますか?」
「っ、あ…」
「その方が、なまえを満足させてあげられますよ」


囁かれた声にどきりと胸を高鳴らせながら峯のダークブラウンのスーツにしがみつけば、鍛え上げられた両腕になまえの身体は強く抱きしめられた。
もっとなまえを感じたい…。
熱っぽい声が耳元で囁いた言葉の意味を理解すると、なまえは自ら峯の唇にキスをねだるのだった。



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(どんな言葉でもいい、僕を求めておくれ)


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