sleep | ナノ

己の首元に腕を回して縋るなまえの腰に、ウルフウッドの左手が添えられる。
なまえの両腕の力が僅かに緩み、なまえが控えめに視線を合わせると、ウルフウッドは改めて両腕でなまえを抱き寄せた。


「なんや、そないに甘えて」
「ニコ兄…」
「酒でも飲んで、酔うとるんか?」


ふるふると頭を振って否定の意を表すと、なまえはぎゅっとウルフウッドの胸に顔を埋めた。
どうやらこのまま一人で部屋に戻るのが嫌だという意思表示だというのは判っていたのだが、ウルフウッドとしては本人の口からその事をはっきりと告げさせたいという気持ちが湧き上がった。
既にしっかりとなまえを抱き寄せているというのが答であるのは間違いないというのに。
笑いがこみ上げそうになりながらも、ウルフウッドはそれを押し殺してなまえの言葉を待った。


「オドレの部屋は隣りやろ?」
「っ、ニコ…兄、」
「ハッキリ言わな、ワイは判らんで?」


泣き出しそうな顔で己を見つめるなまえに内心はにんまりしながらも、ウルフウッドのポーカーフェイスは変わらない。
ただ黙ってなまえを見つめながら待っていると、なまえは観念したように俯きながら重く口を開いた。


「一緒に、寝ていい…?」
「…なんでや?」
「だ…って、ニコ兄の傍に…居たいんだもん…」


ぎゅうっと皺ができるほど強くスーツにしがみつくなまえに、ウルフウッドの顔には耐え切れず笑みがこぼれる。
そっと俯いたなまえの顎を掬って上向かせると、そのままウルフウッドはなまえの額にキスを落とした。


「いつからそないに甘ったれになったんや、なまえは」
「っ、ニコ兄…」
「ようもまぁ、誘い上手になったもんやで」
「も…、そんなんじゃ…」


拗ねて頬を膨らますなまえを笑いながら抱きしめると、ウルフウッドはそっとなまえの唇を塞ぐ。
気恥ずかしそうに頬を染めるなまえの頭を優しく撫でてやりながら、ウルフウッドは部屋の奥へとなまえを招き入れるのだった。



wheedling voice
(猫撫で声で甘えてみせて)



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