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己の腕を枕にソファで呻く拓馬に、なまえから好奇の視線が投げかけられる。
僅かでも動かすと痛みが走るこめかみを押さえると、拓馬はなんやねんと眉間に皺を刻んだままなまえを見つめ返した。


「二日酔いなんて珍しいね」
「しゃーないやろ、オヤジに付き合って飲みすぎたんや」
「じゃあ、今日は練習お休みだね」


嬉しそうに呟くと、なまえはソファの傍にちょこんと腰を下ろす。
丁度同じくらいの高さに互いの顔が近づき、拓馬はそれだけでバツが悪くなった。


「なんやねん、ニタニタしよって…」
「だって、こんな騎場くんは珍しいから」


とん、となまえの頭がソファに乗せられ、一段と互いの顔が接近する。
気恥ずかしさから寝返りをしようにも、痛む頭を揺さぶるような自爆行為は辛いものがあった。


「だぁーッ、もうくっつくなや!…痛っ…」
「もう、大きい声出すから」
「う…っさいわ…」


くすくすとどこか嬉しそうに笑うなまえの声が、心地よく耳に響く。
拓馬は情けない姿を晒す自分に溜息をひとつ漏らすと、枕にした腕とは反対の腕を伸ばしてなまえの頭を撫でた。


「嬉しそうやな、お前…」
「たまにはいいなって思って」
「…ん?」


弱ってる騎場くんを見れたのも、一日中二人でゆっくり過ごせるのも。
あまりにも嬉しそうに囁くなまえに、思わず拓馬は赤面する。
慌ててその顔を隠そうと身体を動かして、拓馬は痛む頭をきつく押さえつけたのだった。



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