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拓馬の絶妙なアシストで決まったゴールの直後、ミニゲーム終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。
ゴールを決めたチームメイトの傍で笑顔を見せる拓馬の姿に、なまえは自然と視線が釘付けになる。
上機嫌でグラウンドの外へと出てくる拓馬は、ぼんやりと己を見つめたままベンチで固まるなまえに気付くと、軽く駆け足でベンチまで走り寄った。


「なんや、ぼけっとして」
「…うん、」


じっと拓馬を見つめたまま固まるなまえに、思わず拓馬は首を捻る。
おーい、となまえの目の前で手をぷらぷら振ってみても、なまえは拓馬を凝視したまま動かない。


「なんやねんホンマ…俺の顔になんかついてるんか?」
「あ、違うの。ただ、騎場くんやっぱりかっこいいなぁって…」
「おまッ…アホか!!」


赤く染まった頬をなまえから隠すように、拓馬はくるりと背を向けた。
それでも同じく染まった耳までは隠しきれない拓馬に、なまえはつい笑顔が零れる。
笑ったときに覗く八重歯や、下がった目尻、長い前髪。全てが堪らなく愛おしい。


「騎場くん、」
「だぁーっ!!もう知らん!」


シッシッとなまえに背を向けたままひらひら動く拓馬の手にすらも、なまえの口元には笑みが浮かぶ。
人一倍努力家なところも、負けず嫌いなところも、シャイなところも、サッカー中毒なところでさえも。


「それでも、騎場くんが好きだよ」
「!」


先ほど以上に真っ赤に染まった顔で、一瞬だけ振り返った拓馬とバチッと視線が重なり合う。
小さくアホが、と囁いてグラウンドへと駆け出した拓馬の背中を見つめながら、なまえはこみ上げる幸福感に満たされるのだった。



誰より好きな君よ
(ずっと笑顔で居て欲しい)



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