sleep | ナノ

うとうとするなまえを前に、拓馬の目はすっかり冴え渡っていた。
ひとつのベッドに二人で寄り添うように横たわる、この状況だけでも眠気など吹っ飛んでしまう。


「お前…」
「…ん…、」
「よぉ寝れんな、ホンマ…」


拓馬の腕を枕にし、胸元に寄り添うなまえに呆れ半分怒り半分の感情が溢れ出す。
自分は睡魔も吹き飛ぶほどに緊張しているというのに、良くもまあ眠れるもんだ、と。
緊張感で一杯なことを隠し切れないままで、するりとなまえの頬に掛かった髪を強張った動きで払いのけてやった。


「騎場、くん…」
「なっ…なんや」
「明日も、勝ってね…」


もう無意識なのだろうなまえの腕が、拓馬の背中へと滑り込む。
わっ、と思わず声を上げる拓馬を余所に、ぎゅうっと拓馬に抱きついたなまえはゆっくりと深い眠りに落ちてゆく。
先ほど髪を退かしたそこには、薄っすらと開かれた唇がすやすやと寝息を零していた。


「…この調子やと眠れそうにないな」


のん気な顔して寝よって…。
悪態を吐くわりに自分の口元が緩んでいる事などは露知らず、拓馬の腕が恐る恐るなまえの身体を抱き寄せる。
はぁ、と吐いた溜息は普段とは異なり緊張の色を含んでいた。
そんな己の様に苦笑しながら、拓馬はそっとなまえの滑らかな頬を撫でるのだった。



thumpity-thump
(君にドキドキしっぱなし)



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