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「っ、と…」


突然ぎゅう、と後ろから抱きつかれ、郡司の身体がツンと一歩前へ傾いた。
くるりと首だけで振り返ってみれば、なまえの右耳がぴったりと郡司の背中にくっついている。


「どうしたんスか、急に」


上半身を少し捻った状態で、郡司の手がなまえの頭を撫でる。
その拍子になまえと目が合ったかと思うと、すぐさまなまえは照れくさそうに郡司の背中に擦り寄って視線をそらした。


「郡司さんと一緒に出かけるの、久しぶりだから」
「久しぶりだから?」
「だからすごく嬉しいんです」


満面の笑顔を見せるなまえに、自然と郡司の口元も緩んでしまう。
なまえが何をしていても可愛いと思ってしまうところが、もう既に重症だ。


「なまえには我慢させてばっかりッスね」
「いいえ、全然ですよ」


郡司さんが活躍するところを一番近くで見れますから。
一層強く郡司の背中に抱き縋るなまえの口から、弾むような言葉が零れ落ちる。
不覚にもドキリと音を立てた心臓を悟らせないようにふぅ、と一息つくと、郡司は改めてなまえと向き合った。


「ホント、」
「?」
「なまえは俺にはもったいないくらいイイ女ッスよ」


ぎゅうとなまえを抱きしめる郡司の背に、なまえの腕がするりと回される。
どこへも出かけずに、ずっとこうして二人で居たい。
そんな気持ちをぐっと押し殺して、郡司はなまえを連れて部屋を出るのだった。



秘密のデート
(あなたとならどこへでも)



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