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「あれ、騎場くん…バイクは?」
「今日はええねん。お前鈍そうやし、2ケツする方が怖いわ」
「もう…」


膨れてみせるなまえにスマンスマンと笑いかけながら、拓馬の指がなまえの手を取る。
行くで、と自然と繋がれた互いの指先が嬉しくて、なまえの口元は直ぐに笑顔が浮かんだ。


「スマンな、せっかく休みになったのに俺に付き合わせて」
「いいの、一緒に居られるだけで嬉しいから」
「よう言うでホンマ」


ニッと八重歯を出して照れ笑いを見せる姿が嬉しくて、なまえは繋いだ手をぎゅっと握り返す。
向かう先がサッカースタジアムでも構わないのだ。
拓馬がサッカー中毒だということは、もうずっと前から判っているのだから。


「騎場くんが怪我しないでくれるだけでいいの」
「…ん?」
「騎場くんがサッカーしてるとこ見てるだけでも十分嬉しいし」


騎場くんさえ元気でいてくれるなら、それで十分幸せだよ。
ぱっと顔を上げて拓馬を見上げてみると、途端に拓馬はなまえから顔を背けた。
赤く染まった耳が目に入ったかと思えば、小さな声が阿保、となまえに囁いた。


「今度は…」
「?」
「今度はお前の行きたいとこに連れてったる」


照れた背中に抱きつきながらありがとうを告げてみれば、赤くなった拓馬がめったなことすんな、と声を上げる。
そんなやりとりを楽しみながら、二人はのんびりとスタジアムへと歩き出すのだった。



Love Junky


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