sleep | ナノ

「なまえ、無理して全部チェックしなくたっていいッスよ」
「ん…」


ソファの端っこに膝を抱えて丸くなるなまえに声をかけるも、なまえは眠たそうに目を擦ったきり動く気配を見せず。
視線はといえば、つけっぱなしのテレビへと向けられていた。
郡司の試合の結果をスポーツニュースで片っ端からチェックするのはなまえの日課だが、今日は特に睡魔との熾烈な戦いが気の毒なほどである。
隣でその様子をじっと見つめていると、急になまえの身体が郡司の方へと傾いた。
いよいよ寝てしまったのか、となまえの顔を覗き込んでみると、それでもなまえは辛うじて起きているようだった。


「もういいじゃないッスか、大概のスポーツニュースは見たんだし」
「でも、今日は郡司さん…2得点だったから…」


試合を観に行けなかった分、ニュースは全部見たいんです。
囁く声が甘く響き、寄りかかる体温が熱く、郡司は堪らず顔を緩めた。


「なまえの気持ちは嬉しいッスけど、今日はもうおしまい」


テーブルの上のリモコンに手を伸ばすと、郡司はそのままテレビの電源を落とした。
あー…と不満げな声を上げて抗議するなまえを余所に、郡司は優しくなまえを抱きかかえるとその足をベッドルームへと向けた。
そのまま二人でベッドに倒れこむと、せっかく見てたのに、と拗ねてみせるなまえの額にそっと口付ける。


「今度なまえが観に来る時はもっと活躍してみせるから、今日はもう寝ましょ」
「それは、嬉しいですけど…」
「それにね、なまえがアッチの俺に夢中でコッチの俺に構ってくれないのは、ちょっと寂しいッスからね」


にぃっと口角を吊り上げて笑う郡司に、なまえはふふと声を出して笑い、そのままぎゅうと郡司に抱きついた。
睡魔のために上がった体温はあまりにも心地よく、郡司は腕の中のなまえの額に再びキスをした。


「郡司さん、甘えんぼですね」
「そりゃあ…なまえに甘えられるのは俺だけの特権ッスからね」


すっとなまえの顎を指で掬った郡司は、そのまま柔らかな唇に口付けた。
今日はいい子で寝ましょうね、と囁く声に素直に従うと、なまえは郡司の腕の中で静かに瞳を閉じるのだった。




おやすみのキスをして
(その腕の中であなたの夢を見たい)

▼槌矢郡司(SB)

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -