すうぃーとすうぃーと | ナノ
苺サプライズ


あーっ、ライトくんおはよう!
申し訳ないんだけど買い出しお願い出来る?うんそうなの、
ワタリさんいないのに竜崎がお菓子切らしちゃってさー、
ちょっと遠いんだけど
雁屋までシュークリームお願いしていい?ごめんねー!


声のトーンや笑顔が不自然にならないように、
仕草や言動でほんのちょっとの疑心も生まないように。
精一杯心掛けたわたしの名演技で
ライトくんが捜査本部を出た時から作戦は始まる。


「松田さん相沢さん、打ち合わせ通りの飾り付けでお願いします
夜神さん、プレゼントは用意出来てますよね?
模木さんはソファーとテーブルの位置替えをお願いします!」


改めて指示を確認するため部屋を覗くと
皆さんも慌ただしく準備にかかっていた。
よし、こっちは大丈夫そうね。
わたしはメインイベントの準備に取り掛かるため、
キッチンへと移動する。


「…ってこら竜崎!!!つまみ食いしないの!!!」


キッチンに白い背中を見つけた。
ここの指揮官である世界の探偵だ。

…この人とケーキをつくろうだなんて、無謀過ぎたんだわ。
はひ?と間抜けな声を出して反応を見せるも
こちらを振り替えろうとしない彼を見て、
自分の浅はかさを反省した。


「ちょっと!
そのクリームこれからケーキに塗るんだけど!」


「はぁ。知ってます。
ちょっとくらいいいじゃないですか、けち。」


「けちじゃないでしょ!ライトくんのケーキなのよ!」


探偵は、私がライトくんのために
ケーキをつくろうとしているのが
どうやら面白くないらしい。

ほら竜崎も手伝って!
私が昨夜焼いたスポンジケーキを冷蔵庫から取り出す間に
彼がシリコン製のヘラでクリームを絞り袋に移してゆく。
少し不機嫌そうな無表情で作業をしている姿が何か、可愛い。

そう思ったのも束の間、
私は冷蔵庫からあるものが消えていることに気がつく。
ちょいちょい竜崎さん。と白い背中を突っついた。


「ねぇねぇ。苺あったよね?
ほらワタリさんが取り寄せてくれたやつ。」


「………」


「…ちょっと、何で目逸らすの?
嘘だよね!?有り得ない!!」


うわあー本当に言ってるの!!!???
ちょっとまじでー!?どうしよー!!!
テンパるわたしを無表情でぽかんと見つめる彼よりも
全身全霊でテンパるわたしの方が正しい。
ライトくんのためにワタリさんに頑張ってもらったのに!
この男ったら!!


「もー知らないっ!
竜崎ったら来年のライトくんの誕生日まで禁欲だから!!!」


「それは困ります。」


「ワタリさん!ワタリさんはどこ!?」


「ライトくんが出て行くまで隠れていろと
真幸さんが部屋に閉じ込めましたよね。」


「はっ!ワタリさーん出てきてー!緊急事態ー!」


「おやおや。どうされましたか。」


「ワタリさん、エルが例の苺をつまみ食いしました!」


「それはいけませんね。L。」


「…何とかしてくださいワタリ。
このままでは先1年禁欲になってしまいます。」


「…!ちょっと、
ワタリさんの前でそういうこと言わないでよっ…!」


「その前にL。何か真幸さんに言うことがあるのでは?」


「…ごめんなさい。」


「ん。しょうがない。許す。」


「よろしい。では真幸さん、
すぐに代わりのものを用意いたしますので
お待ち頂けますか?」


はいもっちろん!さすがワタリさん!
苺の乗ってないショートケーキなんて、
栗抜きのモンブランみたいなもんだもんね!ねーエル?


…うるさいです。




かくして、順調に(?)
私の企画したサプライズバースデーパーティーの
計画は進んでいったのだった!







「ただいま。」


入り口についてるセキュリティ用の
監視カメラにライトくんの姿が映った瞬間から
サプライズの準備は始まる。

クラッカーを持って待機して、
扉が開きライトくんの声がするとともに
思いっきり紐を引いた。

クールなライトくんの、ぽかんとした驚いた表情。
これだからサプライズというものはやめられない。


「ライトくん、お誕生日おめでとう!
プレゼントはお父さんから、
ケーキは私と竜崎とワタリさんからだよ!」


「皆ありがとう、驚いたよ。」


その言葉が嘘か本当かはわからないけど、
いつもより緩んだ表情のライトくんを見て
本当に企画してよかったと思った。

だって彼、竜崎と同じで
いつもどこか寂しそうなんだもん。


「ふふ、エルの誕生日にも、
ちゃんとサプライズしてあげるからね。」


「言っていいんですか、それ。」


「忘れちゃうから大丈夫だよ!」


「…名探偵馬鹿にしてませんか。」


「苺食べちゃったくせに」


「関係ないですそれ。」


「もちろんエルのバースデーケーキは苺ないからね!


「………」


「そんなことより竜崎、
ライトくんにちゃんとおめでとう言いなさい!」


「…ライトくん、おめでとうございます。」


「あぁ、ありがとう竜崎。
真幸さんと仲良くしろよ。」


「余計なお世話です。」




私が願うのはこんな風に幸せな日々が
毎日続きますようにってことだけ。
いつも重苦しい空気の現場だからこそ
楽しいイベントごとを拾い集めるのはとっても大切。

ハプニングもあったけど
結果エルも楽しそうだったし、
ライトくんのサプライズ出来て良かったなと思いました!
って私が日記をつけてるなら書くと思う


















130228
ライトくんHappy Birthday\(^o^)/



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