すうぃーとすうぃーと | ナノ
安心いちご


捜査本部の反対を押し切って
竜崎の思い切った発案(いつものことだけど)と
夜神さんの固い思いの元
監視カメラと盗聴器での捜査が始まった。

「えっとー、
夜神家は夜神さんの奥さんと中学生の娘さん、
高校生の息子さんの4人家族で間違いないですよね?
特に変わった様子は見られなかったとのことですが
息子さんの…つ、つきくん?」


「ライトだ」


「へー…ライトくんは
留守中部屋に誰か入っていないかチェックしているそうです
カメラを設置した者からの報告は以上です!」


「はいありがとうございますまゆさん」


報告書を読み上げ
竜崎の隣のソファーに腰掛けた。
机の上のおやつを摘んでみる。
夜神家にはまだ誰も帰っておらず依然静かなままだ。


「ライトくん帰りそろそろですかねー。
どんな息子さんなんですか?」


「…全国模試1位の警察庁局長としても父としても
誇りに思える自慢の息子だ…」


「えっ、全国模試1位!すごい!」


「息子さん帰ってきました。
まゆさん、ライトくんの部屋のカメラは
No.85からです。お願いします」


「ん、はいっ」


モニターが切り替わりライトくんの部屋が映る。
今時の高校生の部屋ってこんなんなんだ!
みたいな反応を考えていたのに、
とてもそうは思えなかった。
必要最低限のものしか置いていなくて
几帳面というか、すごく綺麗なお部屋。
まぁ全国模試1位だもの、他の同級生とは違うわよね…
にしてもめちゃくちゃかっこいいじゃない…!
まるでモデルみたいな顔立ち。


「息子さんかっこいいですねー…!
おモテになるでしょう?」


「まゆさん口を慎んでください。
もう部屋に入りますから。」


「はぁい」


全く竜崎ったら自分が面白くないからって何よ!
明らかに拗ねてますみたいな顔しちゃってさ。
可愛くて頬を突きたくなったけど、
慎めって言われたから慎んでやる。

開いた扉からひらりと紙が落ちる。
なるほどこれが部屋に誰か入ってないかのチェックね。


「確かに…あそこまで気にしているとは…
部屋に何か見られたくない物でもあるのか?」


「17歳という事を考えたら
そんなに怪しむ事ではありません。
私も意味なくやった事があります。」


いや何でだよ!
と思わずツッコミそうになった。
17歳のエルかあー
意味なくそんなことする彼に会ってみたかった。
彼にもあったのね、思春期ってやつが。
親のいない彼の部屋に誰が入るというのだろう。
少し心が痛くなったけど、我慢。
…しなくても、いいかな。

ライトくんが家を出ていったのをきっかけに
隣のソファーに座る竜崎にもたれ掛かる。


「…まゆ、どうしましたか。」


「…何でもないよー。」


「…どうせまたくだらないことでも考えて
勝手に落ち込んでるんでしょう。
私は貴女が居てくだされば大丈夫ですから。ね?」


…いつもこうだ。
慰めたいのに慰められてしまう。
髪を撫でる彼の手の温度に、嫌でも安心してしまうんだ。
またそんなことを考えていると
もたれ掛かってる私を彼は更に引き寄せた。


「貴女のこの重みが、私を安心させるんです…」


「竜崎…」


温かかった。
結局私が安心させられた。


「そうだよね、馬鹿だねわたし、ごめんねエル…」


「いえ。いいんです、いつでも言ってください」



エルが私に顔を近づけようとすると
隣でゴホン!と夜神さんの大袈裟な咳払いが聞こえた。
あぁちょっと残念。いや空気を読もう、
いくらエルの推理を捗らせるためでも
家族をキラだと疑われている一家の大黒柱の前だ。
竜崎もそれに気づいたのかゆっくり私から離れる。



「…夜神さん、失礼しました。
夕食は家族揃って、でしたよね。
北村家とタイミングが合えば
偽の報道テロップを流すタイミングはそこでしょう。」


さすが、キスのタイミングを失っても
世界の名探偵の捜査は一流。
少し残念だけど嫉妬するエルも見れたし
悲しいこと言ってたけど安心出来たし、
捜査の出だしはまずまずってことにしておくわ!









|


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -