残夏(inbk)



抱きしめられるとき、彼の髪が頬を撫でた瞬間にふわりと香る彼のにおいが好きだった。そして彼は、甘ったるい声音で私の名前を囁くのだ。


「起きたー?」
「ざん、げ」
「おはよ、」


彼がもぞもぞと動き、私の顔にかかる髪を後ろへ流す。途端に香りが飛んで、私のもとへ届いた。
彼の部屋の、彼のベッドで、彼に包まれて眠って。残夏で満たされた空間で過ごすことは、なによりの私の幸せ。

ふと、さっきまで見ていた夢を思い出す。
何度転生しても私の好きなもの、好きなこと、好きな人は変わっていないな、と自分の一途さに自嘲しながらも、額にキスをくれた彼に擦り寄ったのだった。






0406 (20:48)






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