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 お恥ずかしいことに

「せんぱーい」
「何だよ」
「…眠れないデス」


いつもどおり夕飯前に俺の家へ転がり込んできたのだめ。夕飯を食べた後もいっこうに自分の部屋へ戻ろうとせず、ピアノを弾いたり菓子を食べたり風呂に入ったり、何だかんだで結局夜中まで俺の家へ居座ったこいつは、当たり前のように俺のベッドで眠ろうとしていた。まあこれもいつものことで、出ていけと言ったところで素直に出ていくのだめじゃないし、ただのお隣りさんでもなくなってしまった今では俺も溜息混じりにのだめの侵入を許す。もうとうに慣れてしまった二人で眠るベッドへと入り込んだ、のだが。

さっきから俺の隣でもぞもぞと落ち着きなく動いていたのだめ。おずおずと口を開いて何を言うかと思えばコレだ。どうせそんなことだろうと思った。

「知るか。目つむってればいつかは寝れるだろ」

俺は至って冷静に返す。明日も早いからとりあえず寝たいんだ。欠伸混じりにそう零した。

「せんぱいー」
「…何だよ」
「先輩が腕枕してくれたらぐっすり眠れる気がしマス、むきゃ!」
「誰がするか!」

俺に擦り寄ってきたのだめを振り払って背中を向けた。腕枕なんてそんなもんできるか!するとやがてのだめはむぅ、と唸って俺の背中にぴったりくっついた。「じゃあいいです。これで」それを最後に何も言わなくなったのだめに何だかほんの少しの罪悪感のようなものが芽生えて、

「…今日だけだぞ」


結局俺はのだめに甘いってことか。




お恥ずかしいことに

(むきゅ!先輩素直じゃないんデスからー)
(…やっぱやめるか)




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