いつもバカみたいに"肉ー!メシー!冒険だー!!"なんて叫んでいる彼が最近、…変だ。
そう思っているのはどうやら私だけじゃないらしく、ナミちゃんやサンジくんも不審に思ってるらしい。もちろんロビンちゃんも気付いてるみたいだけど、理由もわかってるらしい。さすがお姉さま。
「おい、名前!一緒に釣りしよう!」
「やだよー、どうせルフィ飽きてどっか行っちゃうもん」
「じゃあ昼寝しよう!」
「一人でも出来るじゃん」
それに眠たくない、と返して読んでいた本に目をやれば「むっ」と唸り声が聞こえてすぐに本を取り上げられた。何なの、邪魔するなんて凄く腹立つ。
イライラし始めた私に気付いてないルフィも何故か怒っていて、余計に苛立たせる
「幼稚な真似しないで。早く返して」
「やだ」
「はあ?何なのよ!」
「本なんかじゃなくてオレを見ろ!」
「見てるじゃない!今!ほら!」
半ば自棄になりながらルフィと視線を絡ませれば、少しだけ嬉しそうな顔。ほんと、なんなのよ。
「ずっと、オレだけを見てろ!」
「意味わかんない。イヤです」
「何でだ!!」
何でって、ルフィってば何が言いたいの?四六時中ルフィなんか見てたら食欲は絶対減るし、外に出るのも億劫になるだろうし。まあ、睡眠は誘われるかもしれないけど。
「オレはお前だけしか見ないぞ!」
「なにそれ怖い」
「お前以外の女を見てもムラムラしねェ!」
「ムラッ…っ!?ナ…ナミィイィイ!!」
クラウチングスタートを決めて船内にいるナミちゃんの所へ猛ダッシュ。
アイツ絶対、変なもの、食べたんだよ!ム、ムラム…っなんてアイツ知らないような少年だったじゃんか!
「名前!逃げんな!」
「やだやだ!アンタ絶対ルフィじゃないもん!」
「オレはルフィだ!海賊王になる男だ!」
「わあっ、ちょっ、ルフィ!」
ぐるぐると体に巻き付くルフィの腕から脱け出そうにもきつく巻き付いて逃げられず、ルフィの元へと戻されてしまった。やだよ、この子私の知ってるルフィじゃないよう。
「名前!もう逃がさねェ!」
「わああああ!!」
そんな至近距離で話すな!ばか!顔に熱が集まってくるのが凄くわかる!やだ、なんで意識してんの自分!
「オレが海賊王になるのを、一番に見てほしい!」
「ど、どこでそんなセリフ覚えたの…っ!」
「オレの横で、ずっと傍にいてほしい!」
「…っ!」
ずっと傍に…――そう言ったルフィは少年でも青年でもなくて、大人の"男"の顔で
「お前は、名前は、ただオレだけを見てろよな!」
いつものようなニシシ、と笑う無邪気さは皆無で今日は妖艶って感じで、口角を少し上げて笑うルフィに不覚にもときめいた。
「ま、オレは海賊だしな!名前は、」
――…奪うだけだ。
すべては、計画の内。
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策士
120225
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