お腹を撫ぜて

「目、つむって」

言われて素直に瞼を閉じた。のだけれど、しばらく待ってみても何もない。八左ヱ門?と小さく呼びかけてみたけれど返事はなく、あれ、どこか行っちゃったの?でもそんないたずらをする人ではないし。ほんの少し不安になって、目を開けようか悩んでいると、はあと息を吐く気配があった。

「も、ほんとこれだからお前ってやつは……」
「わ、なっなに?」

慣れ親しんだ腕にぎゅうと抱きしめられ、思わず目を開けたら眩しくて自然眉根に皺が寄った。

「普通そんな素直に従うか?一周回って心配だぞ俺は」
「そっちが言ったくせに」
「そうだけどさ」
「だいじょうぶ、八左ヱ門だからだよ。当たり前でしょう」
「えっ……そうなのか」
「そうだよ」

ちょっと期待してたなんて絶対に教えてあげない。何やら照れたらしく、力が緩んだのを逆にぎゅっと抱きしめ返してぐりぐりと肩口に額をこすりつけた。そんなことくらい承知だと思っていたけれど、これはお仕置きが必要だ。竹谷八左ヱ門、有罪。大好き攻撃の刑に処す!


20190407
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