ポインセチアは甘くない | ナノ


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鬼鮫の荷物を共に詰め、武器となりそうなものだけそこから持ち出し数分後、エンジンを吹かす重低音が腹に響いて後ろを向いた。
飛段と角都まで回収して来たサソリは流石だった。数いねえとはじまんねえだろとさもなんでもない風に言うが改めて感心させられた。
ナマエはこんなにも大事にされていたらしい。サークルに回収して帰れば小南とペインが説教という形だろうが待っているだろう。
ウチの部員一人で賠償いくら搾り取れるだろうかと目を細めた角都に飛段がまたかと呆れた。自分も無差別に暴れたいだけなのを棚にあげながら。
忘年会当日に料理を作るのを一任してしまった為、今日彼女を自由にさせてしまったのがいけなかったのだ。全員が薄いながらも責任を感じていた。

「てか高沢だったんだなァ、ナマエの彼氏って奴」
飛段が頭の後ろで腕を組んだ。イタチとナマエは学科が違い皆とは少し離れている所に普段いるから気付かなかったのだ。
高沢という男はサソリやデイダラ、果ては飛段にまで知られているほどの有名人だという。
高校時代から飲みサーと称し女を貪るところにずっと所属しているらしい。水月の言ったことは本当だったのだ。
泣き寝入りする人間が多いし奴らが綿密に計画を立て念入りに用意するために大学側も知らないだろうとサソリが説明する。
「大体やりたいならセフレでも作りゃいいだろうが、女騙してんのが気に食わねえ」
素直すぎる言葉を吐きながら牙をむいた飛段を角都がめんどくさそうに止めた。
道端でガラの悪い男が6人もたっているのはいやでも目立つからとサソリが裏口正面のファミレスへと誘導した。
そんな場合じゃないと焦っているイタチを一瞥し、計画たてとかねぇと目の前で犯されてんの見ることになるぜとサソリが一言ぶちかませば大人しくならざるを得なかった。

「んで、その小南と一緒に買い物しててナマエと別れたのはいつごろだ」
「ほぼ一時間前だ」
「そうか、ならまだ大丈夫だろうよ。あいつは察しが良いからそろそろ気づいてるかもしれねぇし」
連絡が取れてないのが少しめんどくさいが。
慣れた手つきでフリックし、自身の携帯のメモ帳を開いて指で見取り図を描いていく。
「旦那何で地下の詳細知ってんだよ……」
「たまに世界の拷問展が開かれてるからな」
表だって展示出来ねえがそういうのは一定数の客が入るからこっそり開くんだよ。
「毎回見に行ってる」と言い切れば、呆れたような溜息と悪趣味だという言葉がいくつか降りかかった。それを軽くあしらい正面に座っているイタチへ視線をあげる。
狭苦しいボックス席の端で落ち着かない視線を窓の外に向けていたイタチの脛を蹴り、注意をこちらに向けるとサソリは携帯をテーブルの真ん中に置いた。


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