ポインセチアは甘くない | ナノ


▼ 後日談



「ようやくテメェらくっついたのか」
翌日、同じ講義室から出てきた私たちがサークルに向かいドアを開ければ第一声にサソリが眠そうな声を投げてきた。彼の目線は足元から上へとのぼり、イタチのしてやったり顔へと移動した。
昨日はここに泊まっていたのはわかっているが、まさかぶっ通しで今まで麻雀をしていたとは思わなかった。
付き合わされたゼツとデイダラはのそりとこっちに首だけを向けた。
空いている1枠には角都から逃げて来たらしき飛段がおり、棒を掲げるように突っ伏している。
「サボったのか」
「テメーみてぇなイイコちゃんはやってらんねーからな、うん」
昨日の共同戦線が幻だったかのようにいつも通りイタチに噛み付くデイダラだったが、眠気からかその返しに含まれた棘は先が円い。
再び突っ伏したデイダラに近づいたイタチが背中を揺すり荷物を詰めたロッカーの場所を聞きだし鍵を受け取る。
唯一まだ上体を起こす余裕があるらしいサソリに「ようやくって?」とこっそりと聞いた。彼もまたイタチよりかは短いが幼馴染の一人である。

「あいつ、オレがテメーと会うずっと前からお前の事好きっつってたんだぜ」
ったく、お前はお前で気付かねえし、イタチもイタチで行動起こさねえ。
幸せならそれでいいってお前に彼氏出来るの眺めてんのに離れたくないって必死に勉強してお前の隣を歩いてやがる。
見てる方はいい加減しびれを切らしてケツぶっ叩くところだったぜ。背もたれに肘を乗せたサソリが楽しそうにソファーの陰から足を出した。
「“恋のキューピッド”にキスの一つでもしてくれていいんだぜ」
「隷属しないし」
低身長に似合わない長い脚をゆらりと持ち上げてきたのでそれを軽く叩き落とす。
飛段に代わり示談の資料作りの手伝いをしていた隣室の鬼鮫から鍵を受け取ったイタチがその間に入りナマエをかばう様にサソリと対面する。

「ナマエにちょっかいを出すのはやめてくれないか」
「あったま良いくせにこういうところで馬鹿だから気が休まんねえもんな、騎士サマも大変だなァ」
ご苦労なこった。ゲラゲラと笑うサソリが「明日の鍋豪勢なもん作れよ」と投げ、手の甲を向けひらひらと揺らした。


/ →



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -